Q.当社は日系メーカーです。何日も無断欠勤している者がおり、会社の規則制度では労働契約の解除が可能と定めています。この場合、会社から当該従業員に対し「労働契約解除協議書」を一方的に郵送しても良いでしょうか。また注意すべき点を教えてください。
A.『労働契約法』の関連規定により、従業員が使用者の規則制度に著しく違反した場合、使用者は一方的に労働契約を解除できるとされています。従業員の無断欠勤が会社の規則制度への著しい違反であるとして労働契約を解除する際、本人に直接「労働契約解除協議書」を手渡すことができない場合は、証拠保全のため、EMSで送達することをお勧めします。実務において、注意すべき点は次の通りです。
①処分の合理性を保証するため、従業員が無断欠勤した場合、速やかにEMSでまず「職務復帰指示書」を送付し、規定の期限までに会社の職務に復帰するよう求めるとともに、期限までに勤務に戻らなければ労働契約を解除するという法的結果を被ることを告知する。
②それでも従業員が職務に復帰しなければ、会社は労働契約を解除することができる。解除の前に、労働組合へ通知し、労働契約解除について労働組合の意見を聞き、意見聴取を行った証拠を保管しておくよう注意する。
③従業員が「職務復帰指示書」に定めた期限までに職務に復帰しないようであれば、会社から「労働契約解除協議書」をEMSで送達する。その際、労働契約を解除する理由を明記しておく。
④EMSで文書を送達する都度、配達伝票及び受取確認記録を保管し、従業員の無断欠勤に関する証拠を確実に残すようにする。
企業において、従業員による無断欠勤が規則制度に違反するとして労働契約を解除する際、処理が不適切だと、労使紛争を引き起こしやすくなります。上記のような状況に遭遇した場合、企業はまず専門の弁護士に相談し、労働契約を解除するうえでのリスクを全面的に把握し、よく検討したうえで、解除によって無駄な経済的損失の発生を回避することを、お勧めいたします。