Q: 2020年版の外資参入ネガティブリストがまもなく実施されるようになり、内容がさらに縮減されるそうですが、今回はどのような分野の制限が緩和され、日系企業が投資できるようになるのでしょうか。

A: 6月24日、国家発展改革委員会、商務部によりそれぞれ2020年版の『外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)』及び『自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)』が公布され、7月23日より施行されます。近年来、外資の投資環境を改善し、より多くの優れた外資を誘致し中国で発展してもらう目的から、「ネガティブリスト」は『外商投資法』のネガティブリストによる管理制度を推進するための関連文書として、「縮減のみで増加は行わない」ことを原則に、年々内容が縮減されています。2020年の全国版ネガティブリストでは40項目から33項目に、自貿区版ネガティブリストでは37項目から30項目に縮減され、外資が参入できる分野がより拡大されていますので、条件を具備する日系企業は投資にあたって参照するとよいでしょう。

◇2020年版「ネガティブリスト」更新のポイント
1.全国範囲で、サービス業、製造業、農業分野の開放レベルをさらに拡大
・金融の分野において、証券会社、証券投資基金管理業者、先物取引業者、生命保険会社の外資持分に関する比率の制限を廃止した。
・インフラ分野において、人口50万以上の都市での給排水管網の建設及び経営は、中国側の持分支配とする規定を廃止した。
・製造業分野において、商用車製造の外資持分に関する比率の制限を取り消し、外資による放射性鉱物の精錬、加工及び核燃料生産への投資を禁止する規定を廃止した。
・農業分野において、小麦の新品種の選抜育種及び種子の生産を「中国側の持分支配とする」という規定を緩和し、「中国側持分が34%を下回らない」とした。

2.自貿区では、全国適用規定をベースに引き続き優先的な開放の試験運用を行う(自貿区外では依然禁止)
・医薬品分野において、外資による漢方薬材への投資を禁止する規定を廃止した。
・教育分野において、外資が独資により学制類の職業教育機関を設立することを認めた。

◇2020年版「ネガティブリスト」と『外商投資法』等の法令との整合
1.外資参入管理の確実な実行
・「ネガティブリスト」の規定に適合しないものに対し、許可、企業登記登録等の関連事項の手続きをさせず、固定資産投資プロジェクトの審査承認を必要とするものについて、関連の審査承認事項の手続きをさせない。
・外資持分に関する要求を設ける分野では、外商投資パートナーシップ企業の設立を認めない。

2.中外合作経営に関する制限規定の調整
   『外商投資法』の施行以来、『中外合作経営企業法』はすでに廃止されており、これに相応する「中外合作経営」の投資方式は適用しないこととされ、「ネガティブリスト」中で関連条項の記述が調整された。例えば、「医療機関は合弁又は合作に限定する」という記述が「医療機関は合弁に制限する」と修正された。

3.ネガティブリストの適用免除規定の増加
   特殊な状況のもとにおける適用免除規定を増やし、「国務院の関係所管機関による審査確認を経て国務院の認可を得た特定の外資には、外商投資参入ネガティブリスト中の関連分野の規定を適用しなくてもよい」とし、その他の法令との整合を確保するとともに、適用の柔軟性を高めた。

◇日系企業へのアドバイス
   2020年版「ネガティブリスト」では一部の分野において持分比率、投資参入の制限が廃止、緩和された分、外資が関連分野に投資、参入できるようになりました。ただし、参入許可は無条件での参入を意味するわけでなく、外資が関連分野に参入するにあたっては、法定の投資主体の資格、条件、地方政策の要求等にも適合することが求められます。日系企業で投資分野、投資する地方等を踏まえ、事前に専門の弁護士に相談することで、具体的状況を踏まえた先行FSの実施、戦略投資案の整備、適法な設立・運営投資に弁護士のサポートを得ることができます。