新型コロナウイルス対策の長期化による影響で、一部の業界では全体的な経営困難に陥っているところもあります。中には日本の本社自身も経営危機となり、対中投資した現地法人への経済的支援を継続することが難しくなり、中国の現地法人では毎月の従業員に対する最低限の生活費支給さえ負担が困難となる状況も発生しています。
このような場合、企業がこの危機を乗り越えるために、中国の『労働法』のもとでは、企業が従業員と協議し合意できていれば、従業員に賃金報酬を支給せず、従業員には自宅待機させるという臨時措置を取ることが可能とされています。具体的な実施においては以下の点に留意する必要があります。
(1)民主的プロセスの履行
従業員の切実な利益に関わることから、『労働契約法』第4条の規定により一定の民主的プロセスを履行すべきであるとされています。プロセスの全過程における政府との交渉の必要性も高くなります。
(2)社会保険料の納付
このような臨時措置を取る期間中も、従業員と企業の労働関係はなお存続しているため、会社が従業員の社会保険料を継続して納付する必要があります。中国政府からは企業が今回の困難を乗り越えるための支援として、社会保険料の納付についても一定の優遇措置が提供されています。
(3)兼職リスクへの注意
従業員は、自宅待機期間において、収入がないためにその他の業務に従事しようとする可能性があります。会社から従業員に対し、兼職においては安全に十分注意し、労災事故の発生により不要なリスクがもたらされる事態は極力避ける必要ががあります。