今年1月22日、全人代常務委員会では新たに改正された『行政処罰法』が審議を経て可決され、改正法が2021年7月15日より施行されることとなっています。
   今回の改正で『行政処罰法』の条文数はもとの64条から86条に増加されました。同法は、行政機関が法執行の際に遵守すべき準則としてだけでなく、企業のコンプライアンス整備における手引きともなるものです。今回改正された条項の中には日系企業の中国での投資実務及びコンプライアンス面に密接に関連する内容が少なからず含まれており、これらは企業の生産・経営やコーポレートガバナンスのあらゆる面に直接関わるため、日系企業には十分注目いただくべきものとなります。日系企業に関わりのあるポイントを以下にご紹介いたします。

◆ 日系企業が留意すべき主なポイント
1.行政罰の種類が新たに追加され、行政機関で適用されることの多い、公示批判、期限内の生産・経営活動の制限、「信用失墜ブラックリスト」への登録、経営異常リストへの登録等、企業の権利を制限したり、義務を増大する措置も行政罰の範疇に含められました。
2.「自主報告した場合は処罰を減軽するか軽きにより処罰する」、「初回の違法には罰を与えない」、「故意のない過失には処罰を与えない」等の企業への処罰を減軽する規定が新たに設けられました。例えば企業において環境に関する軽微な違法や広告用語上の違法等があり、速やかに是正し、自ら行政機関に報告して違法行為を指摘されなかった場合、もしくは故意による過失のない場合には、処罰の免除又は処罰の減軽を適用することができます。

◆ 日系企業へのアドバイス
   現地企業が直面する経営環境と政策は複雑で変化が多く、経営過程でしばしば起こりうるリスクに速やかに対処し、内部コンプライアンス制度を制定、整備して厳格に履行することが、日系企業において必要となっています。このような対策は企業に対する処罰の免除や減軽を求めて行政機関を説得し、企業が信用失墜や経営異常リストに登録されて名誉が損なわれる事態を防止するうえで大いに役立ちます。