日本人駐在員が中国での駐在期間中に、スーパーへの買い物や近くの公園に行く等、日常生活の中で、広く普及し便利なシェアサイクルを利用することもあるかと思います。ただ、駐在員がシェアサイクルを利用中に不注意で他人に衝突しケガをさせてしまった場合、中国の法律法規や現地のしきたりに不習熟で、言語の障害もある中、どう対処すればよいかわからず戸惑うこともあるかも知れません。今回は、駐在員が交通事故に遭った場合、事故直後の現場において留意すべき点をご紹介いたします。

1.交通事故が発生したら、いち早く警察と救急の通報を行い、証拠の確保を
   交通事故が発生したら、とにかく警察と救急の通報電話をかけます。中国の警察への通報番号は110もしくは122、救急電話番号は120です。自身で通報電話をかけることが困難な場合は、現場の周りの人にお願いしてもよいでしょう。同時に、事故現場の状況が変化して状況が不明瞭となったり責任の認定ができなくなることを防ぐため、現場を適切に保護し、事故現場を撮影、録画して証拠を確保しておく必要があります。
   実務では、駐在員が暴力や責任の負担を恐れて現場を離れてしまう場合がありますが、中国では、このような行動は「ひき逃げ」行為に当たるとして、関連法律規定に基づき、衝突された側に過失があるか否かを問わず、交通事故の全責任を負担することになります。しかし、現場に留まることで暴力を受ける可能性があるという場合には、通報時に暴力を受ける危険があることを警察に説明し、警察に現場を離れてよいかどうか指示を仰いだうえで行動するとともに、傍観者に対し適度な助けを求めることが勧められます。

2.警察、医師に事故発生の経緯等を事実通りに詳しく説明し、説明にずれがある場合は直ちに修正を
   警察や医師が現場に到着すると、警察は現場を調べて当事者や傍観者から事件発生の経緯を聴取し、事故責任を認定するために関連の証拠を収集します。駐在員が自身と負傷者、傍観者の説明内容が齟齬していると気づいた場合は、必ず速やかに説明して修正する必要があります。この点は非常に重要であり、駐在員が事故の発生について責任を負うべきかどうかや多重に責任を負うべきかどうかの決定を直接左右し、これによって駐在員が負傷者に対し賠償すべきかや賠償金額の多寡、刑事責任を負うべきか等の問題が決定することになります。

3.信頼できる知人にサポートを依頼することもできる
   駐在員が事故に遭ったとき、慌てるあまりどう対処すればよいかがわからなくなるかも知れませんが、信頼できる知人に助けを求めることが可能なほか、弊所(事務所電話番号:0532-86678011、電子メールアドレス:xionglin@aaalawfirm.com)にご連絡いただければ、急なトラブルにも対応させていただきます。豊富な経験を持つ弊所弁護士が、親身になって日本人駐在員のため、中国の法律と実務経験に基づき、駐在員の適法な権益をお守りすべく事件に対処いたします。