4月20日、国家税務総局、交通運輸部等10部門より『輸出税還付支援のさらなる強化、対外貿易の平穏な発展の促進に関する通知』(以下『通知』という)が公布されました。
『通知』では15条の措置を打ち出しており、企業への政策支援を一定程度強化するとともに、輸出税還付手続きがより行いやすくなりました。中国投資における実務に関する内容も少なからず含まれ、日系企業も十分に注目すべきものとなっていますので、今回はそのポイントをご紹介いたします。
◆ 主なポイント
(1)徴収・還付税率の不一致等により全額控除できなかった増値税仕入税額の控除算入を許可
加工貿易企業で、従前は輸出製品の徴収・還付税率が一致せず控除できなかった部分の振替仕入税額につき、増値税額から控除することを認める。(第2条)
当該措置の今後の実施時期については、現地の財政・税務機関での判断、確認を経て企業の増値税控除が認められるものとなり、現地政府に一定の自由裁量権があります。
(2)「非接触」方式による手続き電子化を推進
国際貿易の「ワンストップ窓口化」、「電子税務局」等の情報システムをより改良し、推進して輸出企業による「非接触」方式で通関地やクロスボーダー分野における関連事務手続きを行うよう指導する。原則として、オンラインで電子データを提出すれば輸出税還付の申告が完了し、紙の書類提出は不要とする。(第4条)
(3)輸出税還付の手続き効率向上
輸出税還付手続きの所要時間を、従前の7業務日から6業務日以内に短縮する。(第8条)
(4)輸出税還付事項の手続きを最適化
リスクコントロール可能な輸出税還付申告について、企業の書類が揃わない場合、税務局等の政府部門はまず税還付の手続きを受理し、実地照合の事後手続きを行うことで、企業の負担を減らす。(第10条)
各地の税務部門では政策を執行するにあたり、各地における経済発展の水準や、担当職員の政策認識の相違によって執行方法が政策要求と一致しないことも考えられるため、具体的な手続きの際には実際状況を踏まえて現地の税務等の部門と意思疎通、交渉する必要があることにご留意ください。
◆ 日系企業へのアドバイス
『通知』により、輸出税還付の手続き、手順、書類要求がある程度簡素化され、政策によって企業の輸出税還付等へのサポートが強化されました。今後、各地の税務、税関等関係部門により具体的な実施案が制定される可能性があるため、企業の担当者は現地政府部門による政策実施状況に注目しながら、利便性政策は随時活用するとよいでしょう。
このほか、税関、税務、外貨管理、公安、人民銀行等の部門により今後、合同法執行の取組みが強化され、虚偽の輸出、輸出税還付の不正取得等の違法犯罪行為への取締りが厳格化される見込みがあるため、日系企業では上記の優遇政策や利便的条件を活用するとともに適法経営を心がけ、税還付手続き等の担当者向けにコンプライアンス研修を行う等して、従業員の行為により処罰を受ける事態を回避するようお勧めいたします。