2023年3月24日、李強国務院総理は、国務院常務会議を開催しました。この会議では、税金優遇政策の一部を継続し、最適化して段階的に実施することが決定されました。会議後、財政部、国家税務総局も関連政策公告を複数発表しましたが、これは企業にとっても朗報です。今回は、一部の政策の最適化と継続実施状況を簡単に紹介し、各企業様の参考に供したいと思います。

1.製造業者の研究開発費加算控除比率75%を100%に引き上げ
   3月24日、李強国務院総理は国務院常務会議を開き、2023年1月1日から、製造業を営む企業の研究開発費用の加算控除割合を75%から100%に引き上げると述べました。3月27日、財政部、税務総局も企業の研究開発費加算控除優遇政策の具体的な細則を発表しています。この優遇政策については、関係部門がその終了期限を明記していないため、政府が失効を明示したり、その内容と矛盾する文書を作成することがなければ、この政策は長期的に実施されることとなり、研究開発への投資を強化したい企業にとっては朗報であるといえます。

2.物流企業の大口商品倉庫施設の土地使用税半額徴収政策は継続実施
   3月27日、財政部、税務総局は「物流企業の大口商品倉庫施設用地の都市土地使用税優遇政策の継続的な実施に関する公告」を発表し、2023年1月1日から2027年12月31日まで、物流企業が所有(自家用と賃貸を含む)または賃借した大口商品倉庫施設用地に対し、所属する土地等級に適用される税額基準の50%で都市土地使用税を徴収すると発表しました。(第1条)。
   この発表で言及された物流企業、大口商品倉庫施設および保管施設の土地には、特定の意味合いと範囲があることに注意する必要があります。例えば、大口商品倉庫施設とは、同一の保管施設内の面積が6,000平方メートル以上で、主に穀物、野菜、肉、水産物などの農産物や農業生産資材、石炭、化学原料、ゴム、スチール、非鉄金属、プラスチック、繊維原料などの鉱産物や工業原材料を保管するための施設を指します。(第2条)
   *この減税政策は、政府部門が独自に適用するものではなく、減税優遇政策を享受するために、企業が独自に減税申告を行うことを求めるものです。(第5条)

3.小規模・零細企業に対する企業所得税納税の優遇政策の継続
   3月27日、財政部と国家税務総局による『小規模・零細企業及び個人工商業者の所得税優遇政策の実施に関する財政部及び税務総局の公告』では、2023年1月1日から2024年12月31日まで、中小・零細企業の年間課税所得のうち100万元を超えない部分は25%減算して課税所得額に計上し、企業所得税の税率を20%とすることを発表しました。
本政策における「小規模・微収企業」とは、国が制限・禁止していない産業に従事し、同時に以下の3つの条件を満たす企業を指します。(第3条)
(1) 年間課税所得が300万人民元を超えないこと。
(2) 従業員数(労働関係成立者数、労働者派遣受入者数を含む)が300人以下であること。
(3) 総資産が5,000万人民元を超えないこと。

◆日本企業の皆様へのアドバイス
   上記のいくつかの税金優遇政策の最適化と継続的な実施のほか、3月24日の国務院常務会議では、障害者就業保障金の減税、失業・労災保険料率の引き下げなどの優遇政策が継続的に実施されると述べているので、各日系企業の皆様は注意する必要があるでしょう。また、優遇政策によって適用方法が異なっており、政府部門が自主的に適用する場合もあれば、企業側が自主的に申請する必要がある場合もあり、申請を怠ると享受できない場合もあります。現地政府部門の政策実施の動向に常に注目し、タイムリーに把握利用することにより、企業の税金負担を軽減できるでしょう。