4月17日、緊急管理部は、「工業貿易企業重大事故ハザード判定標準」(以下「判定標準」とする)を発布、5月15日から実施し、従来の「工業貿易業界重大生産安全事故ハザード判定標準」(2017版)」(安監総管四〔2017〕129号)は同時に廃止しました。
   新版「判定標準」の判定項目は、2017年版の「判定標準」と比較すると、59項目から64項目に増加しました。一部の判定項目が追加・削除されており、これは企業や政府当局が企業における安全に関わる重大事故ハザード有無を判断する際、大きな影響を与えることになると考えられます。関連する企業の皆様にご参考いただけるよう、「判定標準」のポイントの一部を以下に説明いたします。

1.適用範囲を具体的に明確化
   新「判定標準」はその適用範囲を明確化しました。例えば、冶金、非鉄金属、建材、機械、軽工業、繊維、タバコなどの業種は、工業貿易企業の重大事故ハザードの適用範囲とされています(第2条)。
   ただし、企業の中で危険化学品、消防(火災)、ガス、特殊設備などに関する重大事故ハザード判定の別途規定がある分野に及ぶ業種である場合、新「判定標準」に基づいて判断するのではなく、その該当する規定に従って判断しなければならないという点に留意が必要です。
2.各業界の企業が抱える安全上の重大な問題点を具体的に列挙
   新「判定標準」では、冶金、非鉄金属、建材、機械、軽工業、繊維、タバコの7業種の企業について、安全上の重大なハザードがあるとして、47の具体的状況を列挙しています。例えば、軽工業では、以下の状況のいずれかに該当するものが、重大な事故ハザードがあると判断されます。
(1)食品製造企業の焙煎、揚げ物設備に過熱防止自動切断装置が設置されていない場合。
(2)白酒の勾配、充填場所と酒庫に固定式エタノール蒸気濃度監視警報装置を設置していない、或いは監視警報装置が換気施設と連動していない場合。
(3)パルプ製造、製紙企業が蒸気、火気を使用してボンベを直接加熱して液体塩素を気化させる場合。
(4)日用ガラス、陶磁器製造企業が予混合燃焼方式を採用しているガス窯炉(熱発生炉ガス窯炉を除く)のガス総括管に配管圧力監視警報装置が設置されていないか、または監視警報装置が緊急自動遮断装置と連動していない場合。
(5)日用ガラス製造企業におけるガラス窯の冷却保護システムが監視警報装置を備えていない場合。
(6)非水性塗料を使用する調合室、塗装室に固定式可燃ガス濃度監視警報装置または換気施設を設置していない場合。
(7)リチウムイオン電池貯蔵倉庫が故障電池の採取に有効な物理隔離措置を講じていない場合。(第8条)
   このうち、上記(7)項は、今回新たに追加された内容の一つです。
3.その他の内容
   新「判定標準」はまた、工業貿易企業が関係する3つのリスクハザード管理と、粉塵爆発の危険性、液体アンモニアを使用した冷房、硫化水素、一酸化炭素などの中毒リスクがある有限空間作業など3つの分野の14の状況についても規制しています。
   新「判定標準」に記載されている状況の中で、生産の安全に直接関係する監視、警報、防護などの施設、設備、装置については、それらが正常に作動しなかったり、効力がなくなったりしていると、政府当局に重大事故ハザードがあると認定される、ということに特に注意すべきです。(第14条)。

◆日系企業の皆様へのアドバイス
   今回政府当局は、近年の様々な事故で明らかになった新たな問題、新たな状況、多数の死傷者を出す恐れのある重大な安全リスクについて、企業の新たな技術、新しい設備の運用、また安全レベルの向上などの要素を総合的に考慮し、特別にこの新「判定標準」を制定しました。 さらに、今後各地の管理部門により、この新「判定標準」を企業の日常的、または専門的な法執行検査の根拠として適用することになります。そのため、各日系企業の皆様がこの新「判定標準」が発効する前に、各業種に関連して変化があった内容を正確に把握することは、特に重要なことといえます。そうすることにより、今後、この新「判定標準」を十分に活用し、生産経営に存在するリスクハザードを適時に洗い出し、政府部門からの処罰や、生産安全にかかわる重大な事故を回避するためのコンプライアンス調整を進めることができるでしょう。