6月1日、中国外交部より「在外公館における海外遠隔オンライン公証の全面実施に関する通知」が発布されました。これにより、6月1日からは在外公館196カ所で海外遠隔オンライン公証サービスが全面的に開始され、司法部が認定した300近くの中国国内公証機関と協力して海外遠隔オンライン公証が行われることが決定しました。 今回は、海外遠隔オンライン公証サービスについて、以下に参考となる点を簡単にご紹介させていただきます。
1.遠隔オンライン公証は制限付きで適用されている
遠隔オンライン公証はすべての人が申請できるわけではありません。海外遠隔オンライン公証を行う当事者は以下の条件を満たしている必要があります。
(1)中華人民共和国の国籍を有し、本土地域の居民。
(2)外交部試点館のある国に長期的に居住する。
(3)公証員と直接コミュニケーションをとることができ、言語面または行動面で他の人からの援助を必要としない。
一般的に上記(2)の長期滞在とは、すでに180日間継続して海外に滞在している場合、または永住権や長期滞在の身分証明書を取得している場合、または受け入れ国で就労や就学のための長期ビザを取得している場合を指しますが、この点は事前に現地の大使館・領事館に確認されることをお勧めいたします。
2.どのような事項を公証することができるか
一般的に、身元関連や財産に関係する下記事項は海外の遠隔オンライン公証を申請することができます。
(1)声明、委託(不動産、持ち株、相続などの財産関連事務を含む)。
(2)婚姻状況、国籍、氏名、出生、死亡、親族関係。
(3)無犯罪記録、経歴。
(4)学歴、証明書(免許証)、文書上の署名、印鑑、文面の照合公証など。
また、不動産に関する公証申請の場合は、不動産所在地の公証機関が処理することに留意が必要です。
◆日系企業へのアドバイス
当面は、外国企業や駐在員が関わる国境を越えた商取引、およびその債務、財産相続、中国での入札や訴訟への参加には上記の遠隔オンライン公証は適用されませんので、外国籍の方は、所在国の公証役場、または中国居住地の公証役場などに外国関連の公証を申請する必要があります。
一部の事業活動や相続、不動産取引などにおいて、公証手続きは必要かつ大変重要な手続きです。 弊所は、中国や日本で多くの企業様や個人顧客様の公証・認証業務を行っておりますので、必要な場合はぜひお気軽に弊所までご相談ください。