北京市インターネット情報弁公室はこのほど、『北京市個人情報越境移転標準契約届出ガイドライン』(以下『届出ガイドライン』と略)を発布し、北京市の企業の個人情報越境行為についてより詳細な届出申告について説明しました。今回は『届出ガイドライン』の主なポイントについて説明し、北京市の日系企業の参考に供することができればと存じます。
1.届出主体がさらに細分化される
当該『届出ガイドライン』の規定によると、届出主体は北京市に所在する法人組織であり、かつ中国国内契約の署名者と一致してなければならないとされています。また、独立法人の資格を持たない支社は、本社や子会社の代わりに申告することができません。
2.個人情報、センシティブ個人情報の判定基準について
国家インターネット情報弁公室が公布した『個人情報越境移転標準契約弁法』第4条は、個人情報の国外提供に関する標準契約を締結する場合、同時に4つの条件を満たす必要があるとしています。 その中では、国外に提供する個人情報およびセンシティブ個人情報を取り扱う量について言及しています。
実務上、一般の個人情報であるか、若しくはセンシティブ個人情報であるかを判定する際は、『情報技術安全個人情報安全規範』(GB/T35273-2020)の規定を参照することができます。
3.デジタル版と書面の資料を提出する
個人情報処理者は、標準契約の発効日から10営業日以内に北京市インターネット情報弁公室に届出を申請し、届出の際は必ず、デジタル版と書面の資料を提出する必要があります。まずデジタル版資料が審査に合格した後、書面の資料を提出することができます。
ここでいうデジタル版資料とは、企業の公印が押された書面資料をスキャンして作成したPDFファイルを指しており、デジタル版資料は書面資料と必ず一致していなければなりません。さらにデジタル版資料は、国家インターネット情報弁公室が発表した『個人情報越境移転標準契約届出ガイドライン(第1版)』に規定された資料の順序に沿って整理しなければならず、これを怠るとインターネット情報弁公室から追加で改善要求される可能性があります。
◆日系企業へのアドバイス
このほど、北京市で第1号となる、某企業の個人情報越境移転標準契約書の届出手続きが完了しました。これにより、北京市はすでに標準契約書の届出制度の実施を開始したことになります。つまり、各日系企業が個人情報の内部コンプライアンス・ガバナンスを強化し、時を移さずに対応業務を展開する必要があることを意味しています。
手続き上、提出する書類の中で最も重要なのは、標準契約書と個人情報保護影響評価報告書です。標準契約書と評価報告書の作成においては、政府当局の要求を満たす必要があるだけでなく、企業の実際のニーズも満たさなければなりません。スムーズにこの届出を行うためには、政府当局との強力なネゴシエーションも必要です。
最近、弊所でも多くの日系企業の標準契約書および個人情報影響評価報告書の作成、修正、及び手続きのお手伝いをさせていただいておりますので、何らかのサポートの必要がございましたら、どうぞ随時お気軽に弊所までご連絡ください。