2024年8月16日、国務院報道弁公室は、「質の高い発展の促進」をテーマに記者発表会を開催しました。この発表会上で、市場監督管理総局と社会保険、税務などに関連する部門が、企業情報の変更、企業の抹消、飲食店の開業など三大事項に対して2024年から「一処理高効率化」改革を進めることについて提起されました。今回は、特に企業情報の変更と企業の抹消の2点に関わる改革について、日系企業の皆様の参考となるポイントを簡潔にご説明いたします。

1.企業情報の変更がより簡単に
   通常、企業情報の変更には工商、税務、社会保険、医療保障など多数の部門が関わっているため、企業は多くの部門に出向いてそれぞれの手続きを行わなければなりません。
   今回の改革では、企業情報の変更手続きプロセスが7ステップから1ステップに減り、提出する資料も13種が削減され、承認に要する日数も6営業日へと短縮されました。これは、企業情報の変更が今後よりスピーディ且つ便利になることを意味しています。

2.企業の抹消手続きと所要時間が更に短縮
   今回の改革が実行されると、企業の普通抹消の所要時間は最短70日から46日に短縮されます。この日数には45日間の法定公示期間が含まれているため、この45日間の債権者への公示期間を除くと、実質1日で企業の抹消手続きを完了できることになります。
   この大幅な日数短縮の要因は、手続プロセスが10ステップから4ステップに減ったことで各政府部門間での情報共有が可能となり、企業が多数部門に出向いて資料を提出するという過程を省略できるようになったことによります。

3.実務上の注意点
   企業の株主、登録資本金、法定代表者、会社形態、住所、董事、監事、財務責任者などを変更する際は、速やかに市場監督管理部門にて情報の変更と届出手続きを行う必要があります。情報の変更と届出手続きを適時に行うことを怠った場合、政府部門より指摘または処罰を受ける可能性があります。
   中国では、各地域の実状の相違から、情報の変更と届出手続きの具体的な実施方法にも違いがある可能性があるため、現地の各日系企業において情報の変更と届出手続きを行う際は、事前に現地弁護士に問い合わせ、共に政府部門との交渉を行うことで、準備やコミュニケーションの不足による企業スケジュールの遅延を避けることができます。

◆日系企業へのアドバイス
   企業の抹消における手続プロセスや所要日数が減ったとはいえ、実務においては、企業が税務の「非正常納税者」となることや、会計帳簿に不備が生じたり、「経営異常名簿」や「ブラックリスト」に登録される可能性、または株主が解散・清算に合意しないなどの状況に面する恐れもあり、これらは総じて企業が抹消手続きを正常に進めるのを妨げる事由となり得ます。そのため、事前にこうした事項について現地弁護士に相談の上検討を進め、適切な対応スキームを設定することにより、各企業が簡潔且つ状況に則した方法(持分譲渡、解散・清算、破産など)を選択し、スムーズな撤退・退出を進めることをお勧めします。