多くの外国籍者は中国での勤務を終えて帰国する際、社会保険個人口座の払い戻し申請など、中国での処理手続きの際に外国人就労許可証抹消証明書を提出するよう、関連部門から求められることがあります。その際、外国籍者はその手続き方法がわからず、困難に直面することになります。そこで今回は、外国籍者および日系企業の参考となるよう、外国籍者が中国を離れる際に関連する証明書を抹消する必要があるかどうか、またその手続きの方法について紹介します。

1.就労許可証と居留許可証を抹消しなかった場合、法的責任を負う可能性がある
   『外国人在中国就業管理規定』第20条、『外国人来華就労許可サービスガイドライン(暫定)』第8条の規定によると、外国籍者が現地企業との労働契約を解除した後、現地企業は10営業日以内に外国人就労許可証の抹消手続きを行わなければならず、また当該外国籍者の出国手続きも支援しなければなりません(居留許可証の抹消手続きを含む)。
   出国時に就労許可証と居留許可証の抹消手続きが完了していない場合、雇用者と当該外国籍者は責任を問われる可能性があります。

2.就労許可証と居留許可証の抹消のプロセス
(1)就労許可証の抹消
   現地企業は「外国人来華就労管理サービスシステム」から、オンラインで抹消申請を行うことができます。手続きが完了すると、『外国人来華就労許可抹消証明書』を取得することができます。
必要資料:外国人来華就労許可証抹消申請書、労働関係の解除または終了を証明する資料など。
   現地にいる外国籍者を他省や他市の子会社に派遣する場合にも、以前の就労許可証を抹消し、新しい就労許可証を申請しなければならないという点に注意が必要です。新しい就労許可証を申請せずに新たな会社に就労するなら、不法就労と認定され、罰金などの行政罰を受ける可能性があります。
(2)居留許可証の抹消
   『外国人来華就労許可抹消証明書』を取得後、公安局の出入国管理部門にて抹消手続きを行います。居留許可証の抹消には、一般的に外国籍者本人が同行する必要があることに注意が必要です。
必要資料:『外国人来華就労許可抹消証明書』、臨時住宿登記書の原本、離職証明書などの資料。

3.外国籍者と日系企業へのアドバイス
   現地企業は、離職した外国籍者の関連抹消手続きを適時に行うことにより、労務リスクが軽減し、行政罰や労働争議発生などを回避することができます。また、外国籍者にとっては、養老保険の払い戻しや医療保険個人口座の一括処理などの手続きが円滑に進むほか、再度中国で就労する際の障害となる影響を避けることにもなります。
   抹消の具体的なプロセスと要件は地域や政策の違いによって異なる場合があるため、抹消手続きの過程で当局からその他追加資料の求められる可能性があり、複数回に及ぶ交渉や折衝が必要となる場合もあります。各外国籍者および日系企業は、現地で豊富な経験を有する中国の弁護士に依頼し、早期に抹消手続きを完了することにより、労務リスクを軽減するとともに、外国籍者の円滑な帰国を実現することができるでしょう。