このほど中国人力資源社会保障部は、「外国人就労許可証と社会保険カードの統合業務に関する人力資源社会保障部の通知」(以下「通知」という。)を発表し、2024年12月1日より外国人就労許可証と社会保険カード(社保カード)を統合することを決定しました。これは、これまで就労許可証と社会保険カードを別々に取得していた外国籍者個人と現地日系企業に大きな影響を与える決定であることから、今回はこの通知のポイントについて解説いたします。
1.就労許可証と社会保険カードの統合
同通知の規定によると、2024年12月1日から外国人就労許可証の情報を社会保険カードに紐づけることによって外国人就労許可証と社会保険カードの統合を実現します。つまり、今後は中国入国後にデジタル版及びカード版の社会保険カードを申請するだけでよく、原則的にはカード版の就労許可証申請が不要となることを意味します。
但し、すでにカード版の就労許可証を受領済みである外国人(例えば中国ですでに就業している外国人)については、「変更交換なし」の原則に基づき、就労許可証に延期·変更がない限りは引き続き既存の就労許可証を使用することができます。
2.外国人の雇用及び社会保険の監督管理の強化
就労許可証と社会保険カードの統合政策は外国人の中国での仕事や生活に一定の利便性を提供する一方、外国人の中国での就労と社会保険が確実に紐づけられることを意味しています。
外国人が中国で社会保険を払うべきかどうかについては、実務上、これまでは各地域によって理解と実施状況が大きく異なっております。例えば上海地区では、「上海人社養発[2009]38号」規定の廃止前(2021年8月15日まで)は、外国籍従業員の社会保険納付については、特別規定という形で対処していました。
また、日本と中国は社会保障協定を結んでいますので、日本国籍の従業員の社会保険の支払いについては、同協定の適用にも留意する必要があります。
◆現地日系企業及び外国籍者の留意点
同通知の規定によると、2024年12月1日より、就労許可の申請、延期、変更、抹消のすべてのプロセスはオンラインでの手続きが可能となります(外国人来中就労管理サービスシステムURL:https://fwp.safea.gov.cn/lhgzweb/?gdbsTokenId=null) 。
中国で就労する外国人は、従来の規定どおり中国入国前に『外国人就労許可通知』と就労ビザの取得が必要となります。加えて中国入国後には同通知の規定に基づきデジタル版とカード版の社会保険カードを取得し、更に居留許可の手続きなど相応の手続きを完了する必要があります。