2026年9月28日に国家税務総局が発表した『全国税務行政処罰裁量基準(2026年版)』が、11月1日から正式に施行されます。新規定の施行後は、人力資源・社会保障部、税務局、住宅積立金管理センターなどの各機関が常態的にデータの共同照合調査を開始しますが、これは現地企業の生産・経営および社会保険に関わるコンプライアンスなどにも大きな影響を与えることから、今回はそのポイントを以下にまとめます。

1. 社会保険料未納に対し3段階の処罰基準を統一
これまで社会保険料未納に対する処罰は、地域によって裁量にかなりのばらつきがありましたが、今回新たに「未納額」と「未納額が当期納付義務額に占める割合」という2つの処罰等級区分を設けることで、法執行基準が全国で統一されました。
(1)一般事案(未納額と同額の罰金)
未納額が50万元未満、または未納額が50万~500万元かつ当期納付義務額に占める割合が30%未満である場合。
(2)比較的重い事案(未納額と同額~2倍の罰金)
未納額が50万元~500万元かつ当期納付義務額に占める割合が30%以上である場合、または未納額が500万元以上であるが当期納付義務額に占める割合が30%未満である場合。
(3)重大事案(未納額の2~3倍の罰金)
未納額が500万元以上かつ当期納付義務額に占める割合が30%以上である場合、または度重なる違法行為や加入義務を悪意により回避するなどの状況がある場合。
上記罰金は、社会保険徴収機関が期限までに納付または不足分補填を命じたにもかかわらず納付しない企業を対象としたもので、納付命令を受け速やかに納付した企業は罰金対象にはなりません。

2. 機関を跨いだ共同照合調査アップデート
社会保険の監督管理は、これまでの手作業による抜き取りチェックから、賃金台帳、個人所得税申告、社会保険、住宅積立金の4つのデータを自動的に相互照合する「金税四期」へとアップデートされています。このシステムは、低基数での申告、帳簿外賃金の支給、賃金の分割支給、選択的加入など、社会保険納付に関わる各種違反を自動的に識別することができます。
日系企業は人事・雇用台帳記録が比較的完全かつ規範的に管理されており、関連財務・雇用データもしっかり保管されているため、従来は見落とされがちであった低基数申告や帳簿外賃金支給などが調査で指摘される可能性も高くなります。

◆企業へのアドバイス
近年、社会保険の監督管理は全国的な基準の統一、デジタル化、透明化が進められておおり、延滞金や行政処分、労働仲裁、信用リスクを回避する最善の手段としては、積極的に自社の問題を是正することが挙げられます。リスク解消のためには、見逃されてきた社会保険関連の問題を洗い出し、合法的なプロセスを経て就業規則を見直すことをお勧めいたします。具体的には、以下のような対応が必要となるでしょう。
(1)過去の社会保険事項の全面的なチェック
過去の納付不足、納付漏れ、保険料算定基準額の過小申告など見落としていた問題点を体系的に整理し、現地弁護士と共にリスク対応スキームを策定する。
(2)人事・財務部門による定期的なデータ照合体制の構築
現地の一般社員だけでなく、試用期間従業員、外国籍従業員、外部委託補助要員に対する社会保険加入・納付管理を規範化し、労働関係や業務委託の境界線を明確化することにより雇用コンプライアンス上の抜け穴を解消する。

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