8月26日、国務院より『中国(山東)、(江蘇)、(広西)、(河北)、(雲南)、(黒龍江)自由貿易試験区全体案』が公布され、中国自由貿易試験区(自貿区)の陣容がさらに拡大することになりました。

1.対外開放の新局面を迎える中国
今回の施策により、自貿区は省を単位とし、都市中のエリアにおいて試験運用が実施されるのは合計6省、19都市(エリア)となりました。2013年に上海の自由貿易試験区が設立されて以来、中国の自貿区の数は18ヶ所まで増加し、東西南北に広がる開放された新たな配置を形成しています。

 2.自貿区が享受する政策メリット
新設される自貿区は貿易、投資、人材誘致の利便性向上等、複数の面において自主決定権が与えられており、各自貿区に享有される政策上のメリットには以下のようなことが含まれますが、これらに限りません。

①投資の利便性向上
各自貿区ではいずれも、外資系企業による経営に関する教育研修・職業技能訓練機関や航空輸送販売代理企業の設立を支持し、外資系企業が国外(台湾を除く)旅行業務に従事することを認めるとしている。

②貿易の利便性向上
・江蘇自貿区案:通関手続きの最適化、貨物の通過、通関処理完了にかかる均所要時間の体系化推進
・広西自貿区案:ASEAN諸国との「1つの窓口」による相互連絡を提起
・山東自貿区案:自貿区の条件を満たすエリアに総合保税区を設立することの支持を提起

③人材誘致の利便性向上
・山東自貿区案:国際会議、対外招致、使節来訪等にかかる審査認可の簡素化制度構築を提起
・雲南自貿区案:中国の大学を卒業した優秀な留学生が自貿区において就業・起業することを認め、近隣国家とのクロスボーダー人材資源提携協議の締結を積極的に推進することを提起

3.日中韓地域経済提携の新モデル模索
日韓両国とのより緊密な経済貿易提携関係を確立するため、山東自貿区では各種の効率的かつ新たな提携メカニズムが提案されており、具体的には以下のことが含まれています。
①中日、中韓の税関において、認証を経た経営者の相互認証提携を推進し、情報交換、監督管理の相互認証、取締りにおける相互協力を実現する。
②検査検疫、標準計量等の面において効率的かつ円滑な提携メカニズムを構築し、生鮮農産品貿易の通関における手続き簡素化ゲートの利便性をより高める。
③日系、韓国系の認証企業と原産地証明書の「複数ロットに対する一括発給」を実行し、原産地証明書の利用効率を引き上げる。

6ヶ所の新設自貿区では、既存の自貿区における成功経験の参照をもとに、それぞれに特色のある改革試験の任務が提案されています。今後の投資計画のある日系企業においては、自社に適した自貿区を選ぶにあたり計画の内容を参考にすることができ、これら6ヶ所の自貿区が将来的には外資による投資のホットスポットとなることは間違いありません。