今年も年の瀬が近づいており、まもなく新たな1年が到来します。多くの企業で、年末考課の時期を迎え、従業員の有給休暇が年内に消化されるか、未消化の休暇の処理、翌年度に繰り越しての使用を認めるか等といった問題が集中するこの時期ですが、その解決方法を以下にご紹介いたしますのでご参考ください。
原則として、年次有給休暇は年度内に全てを取得しなければならず、会社は従業員にまとめて取得させることも、分割して取得させることもできますが、年度を跨ぐ使用はさせないのが一般的です。それでも、会社の生産、業務の特性上やむを得ない場合は年度を跨いで取得させることもできますが、従業員本人の同意を得る必要があります。不要な紛争の発生を避けるために、具体的状況に基づき、年度を跨ぐ有給取得を認めるかどうかを会社の規則制度の中で明確に規定しておくことができます。なお、関連規則制度を制定する際には、民主的公示プロセスを正しく履行し、関連規則制度の適法かつ有効な実施を確保することにも注意が必要です。
もし、会社として年度を跨ぐ有給使用を認める意向がなく、従業員に未取得の有給が残っているという場合は、以下のように対応されるとよいでしょう。
1.会社からは従業員に有給の使用を指示しているが、従業員本人の原因により、年次有給休暇を使用しない旨を書面で提出している。
この場合は従業員が自ら休暇を放棄したものとみなし、会社は正常に勤務した期間についてのみ賃金を支払うことが可能です。その際、会社で従業員本人の提出した有給不使用の申請書面を保管しておくよう留意します。
2.会社の原因により有給を取得させられない、もしくは会社が休暇を取らせられる日数が有給残日数よりも少ない。
会社は未使用の有給に対する賃金報酬として、従業員本人の日給の300%を支払わなければならず、当該従業員が正常に勤務した期間の賃金収入もこれに含まれます。
上記は実務においてよくある問題をご紹介しましたが、企業と従業員の具体的状況により、有給に関してさまざまな問題がありえます。お困りの企業は、随時弊所にご相談ください。