12月19日、国務院承認を経て、国家発展改革委員会、商務部より『外商投資安全審査弁法』(以下『弁法』という)が公布され、2021年1月18日より正式に施行されることとなりました。
   近年、中国では外商投資ネガティブリストの縮減が続き、外資による対中投資の範囲や分野が次第に拡大していますが、全ての分野において投資が可能となっているわけではありません。外商投資安全審査制度は、『外商投資法』及びその実施条例中で原則的に規定されてはいたものの、具体的な規定や細則は制定されていません。この度、『弁法』では外商投資安全審査制度の審査機関、審査範囲、手続き、権利の救済、審査執行、規則違反への懲戒等について詳細な規定が設けられました。
   以下『弁法』について簡単にご紹介いたしますので、ご参考ください。

1.審査機関
   外商投資安全審査制度は発展改革委員会及び商務部が主導し、関連業務を担当する。

2.適用する外商投資の類型
   中国で直接又は間接的に投資活動を行い、中国の国家安全に影響する可能性のある対象は、安全審査を受ける必要がある。例えば中国で投資する新規プロジェクト又は企業、M&Aによる中国国内企業の持分取得等。

3.審査を受ける範囲
(1)外資による軍事産業、その関連分野、もしくは軍事・軍事産業施設の関連投資。
(2)外資による国家安全に関わる重要農産品、エネルギー資源、インフラ、文化製品サービス、インターネット情報技術、金融サービス等の分野に属し、かつ投資企業が実質的支配権を持つ(外資が投資企業の50%以上の持分を保有する、外資の表決権が株主会、董事会等の決議に重要な影響を及ぼす等)もの。

   『弁法』の施行後においては、各日系企業では中国投資を行う前に、審査機関への事前申告及び安全審査を受けることが必要な投資分野かどうか、ご確認いただくようお勧めいたします。申告の必要な分野で申告しないまま投資活動を始めると、政府機関より期限内の申告や、持分や資産の期限内処分を命じられる等の措置を受け、さらには不良信用記録が公示される等、企業の名誉・信用への影響が生じることとなります。
   各日系企業では必要に応じ、事前に弁護士に相談して全面的な分析を行い、中国政府機関による処罰を回避するとよいでしょう。