4月22日、全国人民代表大会常務委員会が2021年の立法計画を公表しました。立法計画には中国の法制度の今後の動向がかなり明確に表れるものであり、立法計画草案の内容に基づき事前に事業の商流を調整しておいたことで、法律実施後の調整では処罰となり得た事態を免れた日系企業の事例もあります。
   今年の立法計画は、審議の優先度順に、審議継続、初回審議、審議準備の3類に大別されます。合計数十件に及ぶ法案の中には、日系企業の生産経営に重要な影響をもたらすものも少なくありません。以下に概要をご紹介いたします。

1.日系企業との関係が密接な法律
(1)審議継続法案(17件)

   17件のうち、すでに審議で可決された法案は8件あり、法律が審議継続法案の中で日系企業に注目されるものには以下があります。
①『行政処罰法』(改正):2021年1月に可決され、「自発的に報告すれば罰を減軽するか軽きに従い処罰する」、「初犯は処罰しない」等の減軽制度を新たに追加した。日系企業に環境法への軽微な違法や広告用語の違法等があった場合、自発的に報告して速やかに是正すれば、処罰を免除又は減軽することができる。
②『個人情報保護法』(新規制定):2020年10月に初回審議、2021年4月26日に二次審議が行われ、現在二次審議稿に対する意見募集を行っている。個人情報保護の主体、義務、必要な保護の措置、法的責任等に関する内容が本法で詳細に規定される。本法は、新規制定される予定の『データ安全法』、すでに公布されている『ネットワーク安全法』とともに、情報管理規制に関する法体系を構成するものとなる。
(2)初回審議法案(37件)
   これらの法案の審議には通常一定期間を要しますが、例えば香港特別行政区に関する制度、法規のように、特定の原因によって迅速に審議が進み可決されることもあります。
   初回審議法案のうち日系企業にとり留意されるものとしては、『安全生産法』、『独占禁止法』、『会社法』、『企業破産法』、『行政不服審査法』(いずれも改正)等があります。
(3)審議準備項目
   このタイプは、中国政府ですでに検討されているものの、審議スケジュールにはまだ含まれない法案であり、年内又は以後に審議となる可能性があり、『資金洗浄法』(改正)、『労働組合法』(改正)、『民法典』の実施やビジネス環境の改善、公平競争の促進に関する法律の制定が注目されます。

2.日系企業へのアドバイス
   2021年の立法計画は2020年に比べ量的にはやや減少したものの、情報、データや市場主体の活動に対する管理の強化が反映されている点は、日系企業にも注目されると思います。動向を迅速に捉えて相応の対策を講じることで、法律が施行されてからでは対応が間に合わなくなる事態を回避することができます。