2020年12月1日に『輸出管理規制法』が施行開始されて以来、輸出管理規制にかかる社内コンプライアンス制度をどう構築するかという問題は、輸出企業の関心を集めていたところ、今年4月8日、商務部が『両用品目輸出管理規制内部コンプライアンス指針』(以下『指針』という)がついに公布されました。『輸出管理規制法』の関連法規として、『指針』では、輸出経営者に輸出管理規制内部コンプライアンス制度を確立して整備し、規範的な経営をするよう導くことを趣旨としています。
『指針』では、経営者が輸出管理規制内部コンプライアンス制度を確立し、整備していくための一般的な指針を示しています。企業にとり歓迎されることは、『指針』の要求は非常に具体的に設定されており、企業が輸出管理規制コンプライアンス制度を構築するうえで実務面の実行性が高められていることです。例えば、『指針』では経営者に「予定方針声明」を行うよう求め、「輸出管理規制コンプライアンス方針声明」、「従業員輸出管理規制コンプライアンス誓約書」のサンプルを示しています。一方、経営者に対する「全面的リスク評価」の要求もあり、ここでも「存在しうるリスクポイント」、「取りうる措置」等の例が示されました。
『指針』の有効な実施には、関連する法律との共同での役割発揮が必要となります。『輸出管理規制法』第14条では、輸出経営者が輸出管理規制内部コンプライアンス制度を確立し、なおかつその運行状況が良好であれば、国家輸出規制管理機関は、その企業の輸出関連の規制に関わる品目について共通許可等の便宜を与えることができると規定しています。ただし、共通許可がもらす便宜にはどのようなものがあるかや、適用される利便性措置の具体的な条件については今のところ規定がなく、今後の動きが注目されます。
◆日系企業へのアドバイス
輸出規制管理内部コンプライアンスのメカニズムが有効に機能することによって、企業で輸出管理規制への違反が発生することを回避し、さらに企業が政府機関から処罰を受ける事態が回避されるほか、企業に共通許可等の利便性措置を適用されることで、企業コストが引き下げれ、ビジネスパートナーからの信頼を得るためにも役立つ見込みがあります。両用品目の輸出に関わる企業では、速やかに『指針』を参照し、企業の実状に沿ったコンプライアンス制度を制定し、関連法律法規の新たな動向にも引き続き注目していく必要があります。