6月10日に全国人民代表大会常務委員会の審議で改正『安全生産法』が可決され、2021年9月1日から施行されることとなっています。今回の改正で修正された条文42条の中には、日系企業の生産経営に重大な影響をもたらすものが少なくないため、以下にご紹介する内容をご参考いただければと存じます。

◆ 改正のポイント
1.安全生産に関する重要制度の増設
   危険化学品、炭鉱、金属の製錬、花火・爆竹等の危険度の高い業界の所属企業に対し、安全生産責任保険への加入を強制的に義務付ける。違反した場合は行政罰を受ける。
2.企業への新たな要求
(1)安全性リスクのレベル別管理制御、潜在リスク一斉調査による対策を二本柱とする予防業務制度を確立し、主要責任者(法定代表者、総経理)がその実施を監督する。
(2)「安全生産責任制」を「全員安全生産責任制」に変更した。
(3)飲食業等のガスを使用する生産経営企業では、可燃性ガス警報装置を取り付け、正常に使用できる状態を維持するよう要求する。
3.違法行為に対する処罰の加重
   企業に対する最高罰金額を2,000万元から1億元に引き上げるとともに、是正を拒否する企業には、生産停止・整理を命じて連続して1日ごとに処罰することとし、閉鎖を命じる場合もある。

◆ 日系企業へのアドバイス
   『安全生産法』では、従前から企業に対し比較的厳しい規定がなされていましたが、今回の改正により処罰の程度や方式がいっそう厳格化、多様化されました。これに加えて最近青島市応急管理局では、各区・市の監督管理を受ける爆発・粉じんの発生可能性がある、製錬、小売、生産販売等に従事する企業の中から対象を抽出して特別検査を行うことが計画されています。各日系企業では、改正『安全生産法』に基づき社内の安全生産に関する規則制度や操作マニュアル等を調整し、従業員への安全生産教育や研修を実施し、それらの実施状況を記録しておくようお勧めいたします。特に、生産経営場所の非常出口や避難通路に通行の妨げになるような物を置かないよう注意する必要があります。