今年4月13日、北京市市場監督管理局は、全額出資子会社360社に対して虚偽の医療広告掲出の違法行為につき200万元の罰金を科しました。
   企業経営において広告・宣伝を行うことは広く行われていますが、広告に使用する語句はどんなものでもよいというわけではなく、『広告法』等の法律法規を遵守していないと、政府機関からの処罰を受けやすくなります。
   弊所の実務経験とインターネットで検索した関連事例から、企業の広告・宣伝への使用が禁じられている語句についてまとめましたので、ご参考ください。

◆ 広告中での使用が禁じられる語句と留意点
1.「最高級」、「国家級」、「最良」等の極限表現や誇大宣伝となる語句の使用禁止

   2019年、「茅台酒業」は名称に「国家級」という字句を含んでいたことから、「国酒茅台」から「貴州茅台」に改名したということがありました。実務において、「最流行」、「販売量トップ」、「最上級の工程」、「全国第一」等も禁止語句に含まれており、これに違反すると処罰されるため留意が必要です。

2.ウェブページや広告に掲載する中国の地図は完全かつ正確で、記載文字も正確でなければならない
   2020年10月、「光明乳業」が対外的に掲出した中国地図を含む広告動画の中で、中国の地図が不完全であったことにより、『広告法』第9条第4項の「国の尊厳又は利益を損ない、国家秘密を漏洩する」に抵触し、上海市市場監督管理局から30万元の罰金を科されました。
   各日系企業がウェブサイト開設や製品の宣伝に中国の地図を使用する場合は、台湾、海南島、南海諸島等の島嶼部を正確に漏らさず作図し、国境線や言語表現についても必ず正確に表示するよう留意しなければ、中国政府から高額な罰金を科されることがあります。

3.健康食品について「疾病の治療、医療」等の内容を含んではならない
   健康食品について「免疫力向上、抗菌・消炎効果がある、ダイエット効果がある、内分泌改善、美容治療」等の疾病を予防し、治療する機能に関わる語句を表示してはならず、違反すると処罰を受けます。

◆日系企業へのアドバイス
   上記の使用が禁止される語句のほかに、業界によっても専門の禁止使用語句が存在します。例えば、教育業界において「成績が飛躍的に伸びる」、「7日間暗記すれば永遠に忘れない」、「合格率○○%」等の効果を保証する語句を使用したり、不動産業界において「当該物件は駅、空港等の特定の場所から○○分」といった文言を含んではならないとされています。
   各日系企業によるウェブサイト作成や製品販売の過程で企業や製品の宣伝をする際には、事前に所属業界の広告禁止語句を調べたうえで、広告掲載契約を含め、公表前に弁護士からの専門的なレビューを受けることをお勧めいたします。