10月12日、国家発展改革委員会から『石炭火力発電の深化、電気卸価格の市場化をより進める改革に関する通知』(以下『通知』という)が公布され、10月15日から実施されます。
   『通知』が実施されると、商工業に従事する企業の電気使用料金が引き上げられる可能性があり、現地日系企業の生産経営に重大な影響が及ぶため、今回は『通知』のポイントをご紹介いたします。

◆ 『通知』のポイント
1.石炭火力発電市場の取引価格の変動幅拡大
   『通知』第2条第(1)、(2)項では、石炭火力発電価格は現行の「基準価格」+「変動価格」によって確定すると規定しています。石炭火力発電による電力価格は、現在の上昇率10%以下から20%以下に拡大されることから、企業の電力使用価格が引き上げられる可能性があります。
   同時に、高エネルギー消費企業に対しては「上昇率20%以下」の制限を受けないとしており、高エネルギー消費企業の電気使用コストはさらに増大し、そのような企業が施策を通じて国からモデルチェンジを迫られる可能性もあります。
2.商工業企業の市場価格での電力購入
   『通知』第2条第(3)項では、現行の「商工業目録販売電気料金」を廃止し、現地商工業者の電力購入には全て上記の市場価格電力を適用することを定めています。電力市場から直接電力を購入しない利用者企業は、電力会社に電力の代理購入を委託する必要があることに留意が必要です。

◆ 日系企業へのアドバイス
   『通知』の実施後において、現地日系企業各社において電力使用コストが増加するかも知れず、さらに全国的な電力制限政策により、生産経営に重大な影響を受けている企業もあります。会社の合理的な生産手配、緊急事態下での従業員への賃金支払い等の問題が、現地企業に新たな課題と困難として降りかかります。
   現地企業では、政府機関とうまく交渉することで、より多くの電力使用時間を勝ち取ることができます。また、総合労働時間制の適用を申請したり、電力制限期間中に従業員に休息を与えたり、研修を実施することができるほか、交替制で勤務・休息を取らせ、勤務時間が短縮する場合は従業員と賃金について協議します。また、十分に弁護士と相談しながら、一時的・緊急の電力制限措置が取られた場合の従業員待遇等に関し社内規則中に規定を追加することで、長期対応への備えとします。