今年5月に出産に関する政策調整があり、「三人っ子」政策及び関連措置の実施が要求されていますが、具体的な関連措置についてはまだ明確な規定が出ていません。このような政策の下で、北京市、上海市、山東省等では『人口及び計画出産条例』の改訂が始まっています。
   山東省人民代表大会常務委員会では、11月30日に『山東省人口及び計画出産条例(修正草案)』(以下「修正草案」という)の初回審議が行われた後、12月3日には意見聴取稿を公開し、現在2022年1月3日までのパブリックコメントが行われています。
   「修正草案」では、「三人っ子」政策の開放、配偶者出産休暇の15日までの延長、新たな育児休暇、一人っ子の父母の看護休暇を設けるとしています。今回は「修正草案」に盛り込まれた内容についてご紹介いたします。

◆ 新設内容
1.配偶者出産休暇

   「修正草案」では、配偶者の出産休暇が7日から15日に延長されました。
2.育児休暇
   「修正草案」では新たに育児休暇を設け、会社従業員は男女を問わず、子女が3歳になるまで、1人1年あたり累計10日以内の育児休暇を享受できるとされています。
3.一人っ子の父母の看護休暇
   「修正草案」では新たに「一人っ子の父母の看護休暇」を設け、一人っ子の父母が60歳に達し、治療のため入院している場合、会社はその子女に1年あたり20日以内の看護休暇を与えなければならないとしています。

◆ 日系企業へのアドバイス
   「修正草案」はまだ意見聴取稿の段階で法的拘束力をもたないものの、来年に第2回目の審議が行われることが予想されるため、関連の動きに随時ご注目いただくようお勧めします。
   新たな休暇制度については、休暇の取得手続きや、会社と従業員の利益バランス等一連の問題への対処が企業の新たな課題となるため、事前に弁護士と検討、確認し、民主的プロセスを履行したうえで従業員規則等の制度見直しや修正を実施し、会社のコンプライアンス管理をしっかりと行う必要があります。
   また近年、中国では法律法規の改正がかなり多く行われていますが、一部企業では従前の規則制度や契約書をそのまま使用し続けて一部内容が現行法規の要求に適合しなくなっている状況が多々見られます。各種規則制度、労働契約、取引契約等について弁護士によるレビューを行い、現行法規に基づくコンプライアンス上適切な内容に修正することが必要になります。