年末になり、日系企業を含む多くの会社では年末賞与が支給されるとともに、従業員の年末賞与にかかる個人所得税の代理控除を行う時期となりました。年末賞与にかかる個人所得税の控除方法に、日系企業や駐在員の関心が集まっています。
   12月29日、李克強国務院総理の主宰で開かれた常務委員会議では、納税者の負担を軽減するため、『個人所得税法改正後における優遇政策の移行問題に関する通知』の規定中、三大個人所得税優遇政策の実施継続が決定されましたので、その要点を以下にご紹介します。

1.年末賞与にかかる個人所得税納付に関する政策
   当月の賃金給与所得と年一度の賞与をとまとめず、月ごとに単独で税額を計算する政策を、2023年末まで延長する。すなわち、年末賞与にかかる個人所得税控除は、年末賞与収入を12ヶ月で除した金額により、月度税率表により適用税率、速算控除数を確定したうえで、単独で計算し納税する。
2.追納免除となる事由
   年収入が12万元を超えず、かつ税の追納が発生しているか、年度の確定申告後の追納税額が400元を超えない納税者につき、追納を免除できる政策を、2023年末まで延長する。
3.上場企業のストックインセンティブにかかる個人所得税納付
   上場企業のストックインセンティブ収入は当年の総合所得に算入せず、単独で納税額を計算する政策を、2022年末まで延長する。

◆ 日系企業へのアドバイス
   実務において、単独での税額計算は、月賃金が年末賞与を上回る従業員にとってはより有利となり、反対にまとめて税額計算すれば不利となります。『個人所得税法改正後における優遇政策の移行問題に関する通知』の第1条でも、年末賞与を取得する居住者個人は、当年の総合所得とまとめた税額の計算も可能であると定められています。
   税額の計算を単独か総合計算とするかについて、どちらの手法を選ぶかは各企業の人事か、もしくは弁護士を通じて現地税務機関に照会して確認いただき総合的に判断いただくとよいかと存じます。