2月22日、中国決済清算協会は『バーコード決済サービスの最適化に関する公告』(以下『公告』という)を公布し、現在使用されている「個人決済コード」は廃止、使用停止となることなく、機能も不変とすることが明確となりました。中国の決済サービス大手のAlipay、WeChat Payも公告を出し、個人決済コードは引き続き使用可能となることを発表しました。
以前、「2022年3月1日より、Alipay、WeChat Payの決済コードが商用経営決済に使用できなくなる」という情報が流れ議論されていましたが、これは中国人民銀行が2021年10月13日付で公布した『決済受理端末及び関連業務管理の強化に関する中国人民銀行の通知』の読み取りを誤ったもので、多くの人に「個人決済コード」は引き続き使用できるのかについて誤解するという結果を招いていました。『公告』の公布は、そのような誤解を解消するものともなりました。
このほか、『公告』では利用者が使用を自由に選択できる「個人経営決済コード」を新たに設けて提示しています。これを受けて、Alipay、WeChat Payからも公告が発表され、3月1日から利用者の決済状況に応じ、利用者が望めば「個人経営決済コード」を提供するとしました。「個人経営決済コード」へのグレードアップを行った場合も、個人の日常的な決済には引き続き従前の「個人決済コード」を使用することができます。
実務として、「個人決済コード」と「個人経営決済コード」の違いがよくわからないという方のために、2つのコードの区別をご紹介いたします。
「個人決済コード」と「個人経営決済コード」の区別
(1)用途と機能の違い
「個人経営決済コード」は主に商業経営の決済に使用され、経営分析、取引明細等のサービスを利用できます。また、通常は個人の決済コードでは他人のキャッシュカードからの振込みしか受けることができませんが、個人経営決済コードではクレジットカード等を使用した振込みも可能となります。
(2)銀行、決済機関、清算機関の管理と料率の違い
「個人経営決済コード」に対し、銀行、決済機関、清算機関等では特約加盟店の関連規定に基づいた管理が行われます。また、「個人経営決済コード」の費用(手数料)料率は、一般に「個人決済コード」に比べ高くなります。例えば、個人決済コード内の資金を現金化して銀行口座に入金するには通常0.1%の料率で費用が徴収されますが、「個人経営決済コード」ではその料率は0.6%となる可能性があります。
「個人決済コード」と「個人経営決済コード」の目的が異なっているのは、個人の生活における消費と商業用途の取引の性質を分けることにより、取引情報の正確性を可能な限り保証し、個人決済コードがオンライン賭博やインターネット詐欺等の違法な活動に用いられるのを防止するためです。
◆ 対応へのアドバイス
『公告』の施行後、これまで個人決済コードを使用してきた小規模業者、個人経営者はこれまで通りの個人決済コードの使用だけでなく、状況に応じて無料で「個人経営決済コード」を申請することも選択できるようになりますが、これまでAlipay、WeChat Pay等の特約加盟店の決済コードを使用してきた店舗やモールに目立った影響をもたらすことはありません。各日系企業の駐在員も、引き続き個人決済コードを使って代金の支払いや振込みの取引を行うことが可能です。