最近、「日本から国際便で送られた重要文書がなかなか届かない」という声を以前に増して耳にするようになりました。緊急性の高い文書の原本をいつまでも受け取れないと、会社や個人の重要業務や業務計画に大きな支障が出てしまいます。そもそも、国際メール便の遅延はどのような原因によるものでしょうか。
1.国際メール便が遅延する原因
   中国国内の新型コロナウイルス感染が多くの地域で頻発するようになったことを受け、ほとんどの原因は、税関や配達業者での足止めされているケースが多いようです。国家郵政局は、新型コロナウイルスの国外からの持込みを防止する目的で、国外からの国際郵便物、配送物が通関に入ってから受取人のもとに配達されるまでの消毒、保管場所の換気、一定期間の静置といった措置を取るよう通達しています。
   また、新型コロナウイルスの影響により、一部の国や地域では一連の防疫措置が取られているうえに、航空会社による国際線の大幅な減便や運航停止の措置も重なり、メール便の運送許容量もその影響を受けていることが、さらなる遅延の原因となっています。
2.国際メール便の遅延時間
   調査によると、国外からのメール便が中国に入ってから受取人の手元に届くまでには少なくとも12日以上の時間がかかるようです。
(1)国内に入って最初の都市で消毒、静置するのに約2日かかる
   全ての国際メール便が届く中国国内の最初の都市は北京、上海、広州のいずれかですが、これら3都市の空港の貨物ステーションで国際メール便に対する1回目の消毒、静置を行い、24時間後に北京、上海、広州のメール便処理センターに移して2回目の消毒、さらに規定に従い24時間静置します。
(2)全国各地の国際メール便処理センターの都市で消毒及び静置するのに約7日かかる
   国内の最初の都市での消毒・静置を行ったものに限り、全国各地に運送されることが可能となり、運送された場所でさらに消毒・静置が行われます。
(3)税関検査に約1~3日かかる
   通常であれば、書類等の国際メール便についての税関審査は1、2日で完了しますが、感染対策期間においては、特に国外からの郵便物の扱いは非常に慎重になっており、一連の消毒作業を行ったうえで通常の税関審査が行われることになるため、輸入通関を終えるのにおよそ3日ほどかかります。
(4)通関後、各地の営業所に送られ消毒・静置処理が行われる
   各地の営業所では現地の具体的防疫措置の状況に応じて消毒・静置を実施します。現在、北京市では7日間、山東省では10日間の配達前静置が要求されており、これらの処置を行ったうえで、最終的に受取人の手元に配達されることとなります。

◇ 日系企業へのアドバイス
   国際郵便物の運送にかかる時間が短縮される見込みは明らかになっておらず、重要書類が長い間配達されない恐れがあることから、各企業の担当者は早めに郵送の手配をするとよいでしょう。緊急性が高く、使用時期の迫る国際メール便に対しては、税関や郵政管理局、各宅配業者に連絡を取り、早期配達を交渉してみることもお勧めします。最近でも、緊急の文書配達について関係機関との交渉を法律事務所に委託して有効な対応が得られたというケースがありました。国際メール便の到着を急ぐ皆様に、必要な文書ができるだけ早く届けられるよう願っています。