コロナ禍においては、現場に出向いて契約書に署名を取得することが困難になっています。そこで、電子契約書や電子印鑑による対応を検討する企業が増えています。電子契約書や電子印鑑は、日中の大手企業でも使用されており、新しいビジネスツールではあるものの、使用の際は幾つかの留意点を抑えていただければ、それほど複雑なものではございません。今回は、そのポイントをご紹介いたします。

1.今後のトレンドとなる電子契約書・電子印鑑

電子契約書・電子印鑑は紙の印刷物よりもコストを節約でき、事務効率が上がるため、今後主流となることは間違いありません。

電子契約書の有効性について、『民法典』第469条及び『電子署名法』第3条では、契約をデータ電文等の電子形式により締結することを認め、電子署名の使用も認められています。無効と規定する法律法規がない限り、電子契約書は紙の契約書と同等の法的効力を有します。

ただ、ご注意いただきたいのは、すべての契約書で電子契約書と電子印鑑を使用できるわけではないという点です。例えば、婚姻関係、養子縁組、相続など人身権に関する契約書では、電子印鑑の法的効力を持たないので、ご注意くださいませ。

2.資格を有するサービスプラットフォームの選択

国内外の電子契約書・電子印鑑サービスを提供するプラットフォームは数多くありますが、品質レベルはさまざまで、選択を誤れば締結した契約書が無効となったり、営業秘密の漏えいや取引相手による損害賠償請求を招きかねません。このため、情報セキュリティや電子認証サービスなどに関する資格を有し信頼性の高い第三者プラットフォームを慎重に選ぶようにし、取引の当事者双方で実名認証を行い、相手方との交渉過程を記録し、後に紛争となった場合に備えて補助証拠を残しておく必要があります。

3.社内コンプライアンス管理に留意

効率向上が見込める電子印鑑ですが、不適切な使用や管理をすれば、模倣や盗用、規則に反した印鑑使用等に繋がるリスクがあります。このため、事前に総経理、営業、財務等の各部署の印鑑使用権限について社内規定を設けて管理制度、承認手続きを確立し、私利を図る行為に不当に使用され、会社に損失をもたらす事態を防ぐ必要があります。

◆ 日系企業へのアドバイス

締結された電子契約書は法的効力を有しており、法廷で証拠として使用することができるため、契約内容については事前に弁護士によるリーガルチェックを受ける必要があります。また、現段階において各会社ごとに印鑑使用の制度に相違はあっても、将来的に適法性の問題を招くこと避けるため、日本本社は中国電子契約及び電子印鑑に関する法律に基づき、現地企業の制度を調整する必要があります。関連の問題は、日系企業へのサービス経験が豊富な弊所にご相談いただければ、アドバイスをご提供させていただきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です