5月31日、人力資源社会保障部・国家発展改革委員会・財政部・税務総局の4機関が合同で『段階的に社会保険料の納付猶予政策を実施する範囲を拡大するなどの問題に関する通知』(以下「通知」という。)を公布しました。この通知では、コロナ禍の影響が著しい企業の養老・失業・労災保険料(以下「社会保険料」という。)納付を猶予する対象範囲として、新たに製造業界を中心とした17業界を追加しました。今回は、この通知内容を簡潔に説明いたしますので、ご参考くださいませ。

1.適用業界の範囲拡大
   この通知で、納付が猶予される社会保険料の業界の範囲が従来の飲食、小売販売、旅行、民間航空、道路・水路・鉄道運輸等の5業界から22業界となりました。加わった業界は主に、紡績・服装・製薬・ゴムとプラスチック及び自動車製造等の製造業です。(第1条)
2.中小零細企業でも納付猶予が申請可能
   特筆すべきは、コロナ禍の影響が著しい地域で、生産経営に一時的な困難が生じた中小零細企業も社会保険料の納付猶予を申請することができることです。これは、従来の5業界や新たに増えた17業界のほか、その他の業界でも、特定の条件をクリアする企業であれば、社会保険料の会社負担分の納付猶予を申請できることを意味しています。(第2条)
   また、注意が必要なのは、この社会保険料の納付猶予は、会社納付分のみが対象で、養老保険料の個人負担分は、この政策の対象外となります。
3.自発的な納付猶予の申請書類の提出
   この通知によると、社会保険料の納付猶予は、企業が自らの状況に基づいて自発的に申請するもので、一律に適用されるものではないと定められています。(第5条)
   申請すれば必ず認可されるわけではなく、現在の経営難を緩和する方法のひとつです。申請の際、企業は政府機関と充分に話し合い、交渉する必要があります。
4.申請書類における赤字状態の証明
   企業が社会保険料の納付猶予を申請する場合は、企業が赤字状態にあることを証明できる資料を充分に準備する必要があります。赤字状態にあることを証明する方法としては、会社定款における業績悪化が生じた場合についての規定、財務諸表などの財務資料や経営販売の数字などを組み合わせることが一般的です。

◆日系企業へのアドバイス
   社会保険料の納付猶予は、納付の免除ではありません。申請を考えている企業は、経営状態・会社定款・財務などの現状を把握した上で、弁護士や関係機関から政策条文や執行状況に関する正確な情報を得る必要があります。提出した書類の真実性に対しても、企業は注意を払い、証拠を準備する必要があります。これらを怠ると、行政制裁金などの処分を受けるおそれもあります。