2022年5月31日、国務院は『経済を安定させるための包括政策措置についての通知』(以下「当該通知」という。)を公布しました。当該通知は、財政面の税金・費用から、産業サプライチェーンの保障、企業の電気代・水道代・家賃の減免、企業コスト引き下げ等の面で33項目の措置を打ち出しました。企業は、これらの優遇措置の適用を受け、一時的な経営難の緩和を試みることができます。今回の弊所は、在中日系企業の実務に関するポイントを簡潔にご説明申し上げます。ご参考くださいませ。

1. 還付金に関する優遇政策について
   当該通知では、在庫留保税額の全額返金、税額増分留保に月ごとの全額還付という優遇政策が適用される業界範囲は、従来の製造業・科学研究・技術サービス業、民間航空交通運輸倉庫、郵政業等の6つの業界から13の業界に拡大され、新たに卸売及び小売業・宿泊と飲食業、住民サービス、修理とその他のサービス業等の7つの業界が加わりました。(第1条)
   実務において、企業が上記の業界に帰属しているかどうかは、現地の市場監督管理登記機関に登記されている経営範囲や業界の範囲等の情報に基づいて、税務局に確認する必要がございます。
2.賃貸料の減免について
   当該通知は、2022年にサービス業の零細企業と個人工商業者が国有物件を賃借する場合、家賃を3~6ヶ月間減免するという優遇政策を受けることができると規定しました。家賃の減免について大家は、当該年度の不動産税や都市・鎮土地使用税を減免することができます。非国有の建物の大家が家賃を減免する場合も、不動産税や都市・鎮土地使用税の減免政策を受けることができます。(第25条)
   実務において、非国有の建物を賃貸している大家は、必ずしも家賃を減免できるとは限りません。しかし企業は、自らの生産経営・販売・財務状況に基づき、当該通知の政策に基づいて、大家と交渉を行い、大家に家賃の減免について説得を試みることができます。
3.失業保険による従業員安定のための研修補助について
   コロナ禍の著しいエリアの企業において安定して勤務を続けられるよう、政府は従業員安定のための研修補助(従業員1名あたり500元)一時金政策を打ち出しました。今回の通知は、研修補助の適用範囲を全ての保険加入企業(外資系企業を含む。)に拡大しました。(第7条)

◆日系企業の皆様へのアドバイス
   当該通知が定める33項目の優遇措置を受けて、今後各地において関連する実施細則が公布されるものと思われます。各日系企業では、適時関連する政策の動向を理解することにより、社会保険料の納付猶予、企業の電気代・水道代・家賃等の減免等で、自らの生産経営や販売の状況に基づき、生産経営や財務データ等の資料を提出して、現地の税務局・人力資源社会保障局・大家等と交渉を行い、関係する優遇政策の申請をすることも、現在の経営難を緩和する方法ではないかと思います。