10月31日、山東省衛生健康委員会、山東省財政庁と山東省人的資源及び社会保障庁は共同で「山東省全面二人っ子政策調整前一人っ子親奨励扶助規則」(以下「規則」という)に関する書面による通知を公布しました。一人っ子親(この「一人っ子親」とは、2016年1月1日の全面的な二人っ子政策施行以前に、国が提唱した、子女の出産・育成期間において、終身的に一人の子女しか出産しないことを自ら志願した夫婦を指します)の奨励・補助に対して改正を行い、企業が一人っ子親の一括養老補助金を負担する義務は廃止されました。この「規則」は2022年11月1日より施行され、有効期間は2027年10月31日までです。弊所は各日系企業の人事部門及び総務部門へのご参考として、この「規則」の中で注目すべき要点を以下の通りご紹介致します。
1.奨励補助金額の調整
(1)子供が18歳まで毎月受給する奨励金の金額が従来の10元から5元以上に改正されます。(『規則』第5条)
(2)一人っ子親が退職した場合の養老補助金が従来の「前年度従業員の平均賃金の30%、一括支給」(青島市2021年度従業員の平均賃金は12.8万元、養老補助金は約3.81万元)から「1人当たり毎月100元以上受給」に改正されます。(『規則』第6条)
2.企業による従業員の一人っ子親の一括養老補助金負担義務の廃止
本「規則」改正以前は企業が従業員の一人っ子親の奨励金と補助金を負担する義務がありましたが、本「規則」の施行後は一人っ子親の奨励・補助に必要な資金は、財政部門が確定した金融機関が統一的に支給することとなります。(『規則』第9条)
これは、本「規則」の施行後、企業が従業員の一人っ子親に対して奨励金と補助金を負担する義務がなくなり、企業側の負担が軽減され、企業と従業員の間の対立や紛争も減少しうることを意味します。
◆日系企業への提言
この規則の施行後、各地の政府部門は具体的な施行細則を制定することが予想され、かつ現地の経済レベルが高い場合、一人っ子親の奨励扶助金の基準を増額する可能性があるため、日系企業は適時現地の政府部門の動態に注目し、この「規則」と現地の法規を正しく理解した上で、従業員に説明を行い、理解と支持を得る必要があります。
この他に、改正された「山東省人口及び計画出産条例」も2022年11月1日から施行されており、この中で規定されている育児休暇、育児休暇、父母介護休暇制度についても、各企業は最新の法規に基づき会社の就業規則、労働契約等をタイムリーに適法化し、コンプライアンス上の調整をすることが求められます