12月26日、国務院聯防聯控制機制は、「新型コロナウィルス感染に対する「乙類乙管」の実施に関する全体案」(以下「当該案」と略称))を公表しました。「当該案」は中国に入国後の隔離及びPCR検査の規制措置を撤廃するものです。今回弊所では、各日系企業及び入国者の皆様の参考になればと考え、「当該案」について簡単に紹介いたします。

1.入国者の隔離が不要となる
現時点では、中国に入国後「5+3」(5日間集中隔離と3日間在宅隔離)の隔離が必要ですが、「当該案」により、2023年1月8日から、入国者は搭乗前48時間以内のPCR検査で陰性であれば入国でき、入国後も集中隔離や在宅隔離を行う必要はなく、同時に到着後にPCR検査を行う必要もなくなります。 (「当該案」第3条第12項)
 入国者は、搭乗前に在日中国領事館に健康コードを申請する必要がなくなり、PCR検査結果を税関健康申告カードに記入すればよい、ということとなります。
 ただし、入国者がPCR検査で陽性だった場合には、陰性になってから入国する必要がある点にご留意ください。

2.国際線の便数などの制を撤廃
「当該案」では、国際旅客便に対する客席率、便数、数量などの制限措置も撤廃しました。 これにより、各航空会社が中国に入国するフライト航路が調整され回復することとなりますので、短期的のうちに出入国者数が大きく増加することを意味します。 (「当該案」第3条第12項)
今後において、海路と陸路でも出入国状況が徐々に回復していくと期待したいものです。

◆日系企業へのアドバイス
中国政府は、新型コロナ感染を、「当該案」で「乙類甲管」(乙類感染症に分類されるが甲類感染症の管理方法を適用する)から、本来の「乙類乙管」に戻し、伝染病の管理等級を下げることにより、ビジネス、旅行などの出入国の利便性を高めたと言えます。同時に、「当該案」は、原則的に企業活動の操業再開、ビジネスの促進、帰省、家族の往来などで中国へ入国する際のビザ提供の利便に言及してはいますが、残念ながら従来の日本人のビザ免除措置について緩和することには言及していません。
今後は、高リスク低リスク区域を分けたり、濃厚接触者の判定をしなくなるため、公には新型コロナ感染の状況を把握しにくくなりました。そのため、現地の日系企業は、事前に従業員の勤務考査、出張、注文生産など、各方面で十分な手配をし、防疫用品や消毒用品を準備しておくとよいでしょう。従業員が出張、ビジネス往来の際、個人でも十分な防疫措置を講じるよう企業が指導をする必要があります。
また、最新の情報では、日本側は、12月30日より中国からの渡航者や、7日以内に中国への渡航歴がある人全てに入国時検査を実施し、入国時検査での陽性者は、待機施設で原則7日間隔離するという新たな水際対策を表明していますので、日本への帰国時には留意されるとよいでしょう。
実務では、各地の感染状況が異なり、各都市や社区によって「当該案」の実行程度に差異がある可能性もあり、入国者は入国都市の防疫部門や目的地の社区に事前に確認することをおすすめします。