2022年12月30日、全国人民代表大会常務委員会は『中華人民共和国会社法(改正草案二次審議稿)』(以下『二審稿』と略)を公布し、その内容についてパブリックコメントを募集していました。前回、『二審稿』について挙げた内容に引き続き、今回は、社内組織構造の調整に関わる『二審稿』の内容を、以下に参考として簡単に紹介いたします。

1.小規模の有限責任会社は監査役や監査役会を設置しなくてもよい
   現行の会社法では、有限責任会社に監査役会または1、2名の監査役を設置し、会社の運営を監督することが求められています。しかし実務では、監査役は企業経営管理に関与しておらず、企業の実態を把握できていないという状況が有り、その監督効果を効果的に実現することが難しいと言えます。
   この問題に伴い、『二審稿』では監査制度に調整が加えられました。例えば、有限責任会社は、監査役会または監査役の代わりに、取締役会の中に監査役委員会を設置し、会社法に規定された監査役会の職権を行使することができるとしました。(第69条)
   また、小規模の有限責任会社は監査役や監査役会を設置しなくてもよいとしています。(第83条)
   実務において企業が取締役会に監査役委員会を設置する必要がある場合、会社定款の修正を経なければならず、また、小規模の有限責任会社が監査役会や監査役を廃止しようとする場合、株主全員の合意を経なければならないという点に注意が必要です。

2.条件に合致する企業は取締役会の中に従業員取締役を設置しなければならない
   従業員取締役について、現行では、『会社法』第44条により、「2つ以上の国有企業または国有投資主体が投資設立した有限責任会社」に対してのみ、従業員取締役の強制設置要求がありました。
   『二審稿』は、従業員取締役を設置する会社の範囲を拡大し、従業員数が300人以上に達した有限責任会社は、取締役会に従業員取締役を設置しなければならないとしました。
   従業員取締役は、一般的に従業員大会、従業員代表大会、及びその他の形式の民主的選挙を通して選ばれます。ただし、従業員取締役制度が実際の操作性を持っているかについては、依然議論があり、この制度が正式な文書に残されるかどうかは未確定なため、各企業は、引き続きこの制度に関わる立法の動向を注視する必要があるでしょう。

◆日系企業の皆様へのアドバイス
   現在までに、全国人民代表大会常務委員会の『二審稿』に関するパブリックコメント募集はすでに終了していますが、その一部の内容は、恐らく中国の将来的な企業制度改革の動向を示しており、各日系企業は、会社のガバナンスと運営に関わる内容をタイムリーに把握する必要があるといえます。『二審稿』は、企業に向けてより多くのコーポレートガバナンスモデルを提供しており、企業内での積極的な検討や、弁護士とのコミュニケーションを通し、各企業の発展に適したコーポレートガバナンスモデルを選択し、最適化経営を実現することができます。コーポレート・ガバナンス・モデルの調整は、法定手続きを遵守する必要があり、企業は株主会を開催し会社定款、会社制度などを改正することで、関連する法的責任を負わないように調整を図る必要がある点に留意する必要があるでしょう。