雇用問題は、これまで常に政府部門、企業、及び社会の注目を集めてきました。企業、特に製造業企業にとって、従業員(第一線の労働者、事務職員)の離職率が高いことは、当該企業の生産経営に重大な影響を与える問題となっています。4月26日、国務院弁公庁は安定した雇用のために、『民生に有益な雇用安定政策措置発展の完全促進に関する最適化と調整についての通知』(以下『通知』)を発布しました。今回弊所は、日系企業の皆様がお役立ていただける、当該『通知』の一部の要点について以下に紹介いたします。

1.技能訓練補助金政策について
   この『通知』では、以下のいくつかの方法で技能研修のサポートと強化を提案しています。(『通知』第4条)
(1)重点業界、緊急に必要とされ不足している職業(職種)に対して、職業大学(専門学校を含む)、職業研修機構、また企業を組織し、大規模な技能研修を展開する。
(2)研修に参加した機関、企業に各種職業研修手当を支給する。
(3)企業従業員の技能向上手当を支給する。
   なお、上記(3)の企業従業員は、失業保険に1年以上加入し、職業資格証明書または職業技能等級証明書を取得する必要があること、また、この政策の実施期間は2023年12月31日までであることに注意が必要です。

2.失業保険安定返還政策の継続実施
   2023年12月31日までは、企業は引き続き納付済み失業保険の返還を申請することができますが、すべての企業が失業保険の返還を申請できるわけではありません。返還を申請する企業は、次の条件を満たす必要があります。
(1)従業員のために失業保険を納付した。
(2)前年度に従業員を解雇していない、または解雇率が前年度の全国都市調査失業率管理目標(2022年は5.5%)を超えない。
   ただし、従業員30人以下の社会保険加入企業で、解雇率が社会保険加入従業員総数の20%以下の企業は失業保険の返還を申請することができます。中小零細企業は最高で前年度に実際に納付した失業保険料の60%を返済でき、大企業は最高で30%を返還できます。(『通知』第5条)
   また、失業保険の返還政策は自動的に適用されるものではなく、企業が自発的に申請する必要があることに留意しなければなりません。

◆日系企業へのアドバイス
   紙面の都合により、詳しく説明しませんが、この『通知』には、上記の措置のほかにも、企業への雇用受け入れ一時助成金(卒業年度または卒業2年以内に未就職の大学卒業生、失業登録した16~24歳の青年を採用した企業が対象)といった安定した雇用のためのその他多くの措置があります。
   この『通知』が実施されることにより、各地で具体的な細分化措置が続いて発表されます。そのため、日系企業は現地政府部門の政策動態にタイムリーに注目し、各企業における従業員の採用状況、技能研修の計画などに基づいて、人材サービス、税務など部門との交渉や資料提供を経て、積極的に関連する補助金の申請を試みるよう提案することができます。こうした政策を十分活用することも、企業の支出圧力の緩和につながる有益な方法と言えるでしょう。