財政部国家税務総局が8月1日から2日にかけて発表した、『小規模納税者増値税減免政策に関する公告』(以下『増値税公告』という)、『小規模零細企業と個人事業主のさらなる支援についての税費政策に関する公告』(以下『税費政策公告』という)などの一連の5つの小規模零細企業に対する税金減免優遇政策は、中国の一部の日系企業の税負担を大幅に軽減するものとなり得ます。そこで今回は、一部の税金減免政策の注目ポイントについて以下に紹介いたします。

1.2027年まで小規模零細企業が享受できる税金減免政策
   今回公布された優遇政策の対象となるのは、小規模零細企業と個人事業主のみで、中規模及び大規模企業はこれらの優遇政策を享受することはできません。 実務上、まず各企業が最新の『大中小企業統計区分弁法』を参照し、企業が小規模零細企業に属するのかどうかを判断することができます。
   小規模零細企業が優遇政策を享受できる期間については、これまでの優遇政策期間が1-2年であったのに対し、これを大きく上回る長い期間となっており、2027年12月31日まで適用されることが発表されています。これにより企業は5年近く継続してこの優遇の恩恵にあずかることができ、将来的な税金優遇政策に向けても、長期的な期待を抱かせるものとなっています。

2.企業が納付する税金各項をカバーする
   今回の公告の税金優遇政策では、基本的に、増値税、企業所得税、都市部の土地使用税、不動産税、印紙税など、企業が主に納付している税金の各項目が含まれています。例えば、
(1)月間売上高が 10 万元(10 万元を含む)未満の小規模増値税納税者は、増値税が免除される。
(2)小規模増値税納税者の課税売上所得に対する負担税率を3%から1%に引き下げる。
(3)小規模零細企業の企業所得税率、25%から20%への引き下げを2027年12月31日まで延長する。
   上記(3)でいう小規模零細企業とは、国が制限・禁止していない業種に従事する企業のうち、以下の3つの条件を満たす企業を指します。
① 年間課税所得が300万元を超えない。
② 従業員数が300人を超えない。
③ 資産総額が5,000万人民元を超えない。(『税費政策公告』第5条)

◆日系企業へのアドバイス
   これらの政策が実施された後、引き続いて各地の税務部門より具体的な実施細則や通知が発表される可能性があることから、各日系企業が現地の税務部門とタイムリーにコミュニケーションを図り、関連する税金優遇政策の適用条件について正確に把握しておくことが推奨されます。
   原則として、これらの税金優遇政策すべてを自動的に享受できるわけではなく、企業が自主的に適用のための申請をしなければならないケースもあります。場合によっては、後期税務調査時になってから、税務部門が企業のこれまでの販売データ、従業員のデータ資料などを検証確認するため、企業に対しそれらの資料を提供するよう承諾声明を要求する可能性もあります。これを踏まえて、企業は提供する可能性のある関連データまたは資料の真実性、正確性を企業全体で常に保全しておくことはとても重要です。