2023年8月28日、第14期全国人民代表大会常務委員会において、『増値税法』(草案2次審議稿、以下『草案2審稿』と略)に関する第2回目となる審議を行うとともに、9月1日から9月30日までパブリックコメント(意見公募)を募集しました。
   増値税は企業経営面での納税額が比較的大きく、その法律改正は企業の今後の納税に直接重大な影響を与えるものとなります。そこで今回は、各日系企業及び財務会計担当の皆様の参考として、『草案2審稿』で見られた重点ポイントとなる変化について簡単に解説いたします。

◆主な変化のポイント
1.小規模納税者の認定基準を増値税課税対象年間売上高500万元に引き上げ調整
   現在の小規模納税者の認定には、業種によって異なる認定基準があり、『増値税暫定条例実施細則』第28条の明確な規定では、小規模納税者の増値税課税対象年間売上高は、通常50万元から80万元以下とされていました。
   今回の『草案2審稿』では小規模納税者の認定基準が大幅に調整され、増値税課税対象年間売上高が最高500万元に統一的に引き上げられ、また小規模納税者の基準を調整する主体(国務院)と、その手順についても規定しました。(『草案2審稿』第8条)
   これは、現時点で一般納税者である一部の企業が、後続で新法改正施行後には小規模納税者として認定される可能性を含んでおり、その増値税の納税率や会計処理などにも変化が生じる可能性があることを意味しています。

2.優遇税制の策定の主体と範囲を限定
   『草案2審稿』では、国務院が中小零細企業の発展支援、基幹産業への援助、起業・雇用奨励のための優遇税制を策定し、全国人民代表大会常務委員会に税制案を準備提出する権利を有することを規定しています。
   つまり、今回の優遇税制の範囲は限定的なもので、主に中小零細企業、基幹産業、起業・雇用の三分野を対象とした増値税優遇税制であるということになります。 同時に、優遇税制を策定する主体を国務院に限定しており、国家財政、国家税務総局、地方政府などには優遇税制を策定する権限を与えていないことから、各地方が策定した優遇増値税制が施行・実施されるかどうかも不透明になっています。

◆日系企業の皆様へのアドバイス
   『草案2審稿』は、現行の『増値税暫定条例実施細則』を『増値税法』へと改正するため、その立法レベルを引き上げ、数々の事項を調整する内容となっています。 これらの調整には企業にとってメリットとデメリット両側面が含まれ、税負担がある程度軽減される場合がある反面、企業の税務処理面に対しては、より高い規制要件が課されることにもなり得ます。
   そのため、今後日本企業の皆様、とりわけ財務会計担当の皆様が、増値税関連の法規制や執行の動向を常に把握し、現地の弁護士や会計士とコミュニケーションを取りながら対応策を検討することで、関連する経営行動、会計勘定と納税などを新たな法規制に沿って調整することができ、同時に政府当局からの指摘や処罰も回避できるでしょう。