今年7月16日、発展改革委員会より『市場主体退出制度の整備を加速する改革案』(以下『改革案』という)が公布されましたが、その合同制定機関には、発展改革委員会、最高裁判所、工業・情報化部、民政部、司法部、財政部、人力資源社会保障部、人民銀行、国有資産監督管理委員会、税務総局、市場監督管理総局、銀行保険監督管理委員会、証券監督管理委員会の13の国家機関が含まれています。

『改革案』では主体の退出方式、登記抹消にかかる制度、個人破産の制度等について詳細に規定しており、以下の点がポイントとなっています。
1.市場化・法治原則に則り、市場主体の退出方式をさらに規範化する。
2.清算にかかる登記抹消の制度を改善する。
3.破産に関する法制度を整備し、再編プロセスの実施規則を詳細化・整備し、個人破産制度について研究しこれを確立する。
4.特殊類型に属する市場主体の退出及び特定分野の退出制度を整備する。
5.市場主体の退出の識別及び事前警告のメカニズムを整備する。
6.市場主体の退出にかかる関連権益の保障メカニズムを整備する。
7.市場主体の退出にかかる関連政策を整備する。
8.法制度の整備を通じ、業務責任の確実な履行等により実行する。

市場主体の退出は、市場メカニズムにおける適者生存の淘汰による必然の結果です。現状では、中国市場での実践の過程において、主体の退出がスムーズにできない、インセンティブ保証のメカニズムが整備不十分である、関連措置が未整備である、退出コストが高いといったことが、日系企業が直面する顕著な問題となっています。『改革案』の制定・公布は、市場主体のスムーズな退出、退出コストの低減、市場主体の競争力刺激、淘汰が機能する市場メカニズムの整備、個人破産を促進する制度の段階的な確立、市場経済体制改革や供給側構造性改革のさらなる推進、ビジネス環境構築の改善に有益となります。『改革案』の公布を受け、前述の13機関から『改革案』の趣旨に沿って関連する具体的改革措置が相次いで打ち出されることが予想されます。このため日系企業にとっては、『改革案』及びこの後制定される具体的措置に引き続き注目していくことが、今後の経営方針を検討し、決定していくうえで非常に重要なガイドラインとなります。

作成日:2019年07月30日