【概要】
10月16日、人社部から『社会保険分野の重大な信用失墜の「ブラックリスト」管理暫定施行弁法(意見聴取稿)』が公布された。「ブラックリスト」入りとされる企業は、融資貸付、生産許可等の面で制限を受けることになるため、関連動向への注目が勧められる。

ブラックリスト
今年10月16日、人力資源社会保障部の公式ウェブサイトで『社会保険分野の重大な信用失墜の「ブラックリスト」管理暫定施行弁法(意見聴取稿)』(以下『弁法』という)が発表され、2018年10月29日までパブリックコメントを募集するとしました。

Q1:「ブラックリスト」とは。
A1:人社部が社会保険分野の信用体系構築を推進する目的から、社会保険の関連法令、規則に違反する雇用者、社会保険サービス機関及びその関係人員、社会保険に加入し待遇を享受する各種の人員のために創設した、重大な信用失墜の情報記録です。

Q2:会社や個人が「ブラックリスト」入りとされるのはどのような場合ですか。
A2:
(1)規定の通りに社会保険に加入せず、是正を拒んだ雇用者。
(2)詐欺、証明書類の偽造又はその他の手段により社会保険の加入、申告を行ったり、騙しの手段によって社会保険待遇を受けるか社会保険基金を受給した者。
(3)社会保険の個人の権益に関するデータを違法に取得、販売したか、形式を変えて取引した者。
(4)サービス協議又は関連規定に違反し、是正を拒んだ社会保険サービス機関。
(5)先行して労災保険待遇が支給された社会保険基金の弁済を拒否して履行しない、弁済義務を負う雇用者、その法定代表者又は第三者。
(6)法律、行政法規に規定するその他の場合。

Q3:「ブラックリスト」に入れられた場合、どのような懲戒を受けますか。
A3:『弁法』では、各レベルの社会保険仲介機関が関連規定に基づき、社会保険の「ブラックリスト」情報を現地及び全国の信用情報共有プラットフォームに載せ、関係機関が各自の職責の範囲内で『覚書』の規定により、政府調達、交通機関の利用、入札募集・入札、生産許可、資格審査、融資貸付、市場参入、税制優遇、優秀・先進評価等の面で制限を与えるという規定を設けることが予定されています。

Q4:どうすれば「ブラックリスト」から除外されますか。
A4:『弁法』では「ブラックリスト」から除外される複数の状況が列挙されています。全般的には、信用を失墜した主体が「ブラックリスト」から除外されるには、信用失墜行為を是正することに加え、リストに入っていた期間中に上記6通りの状況が再発していないことが重要なポイントとなります。

コンプライアンスが比較的遵守されている日系企業では、法による社会保険加入や社会保険関連の法律規定が正しく遵守されているのが一般的です。しかし、他の違法企業にとり、人社部より発表された意見聴取稿はそれらの企業に社会保険問題への重視や適時改善を迫るものとなります。このようにして、次第に全ての企業で法令・コンプライアンスが遵守されるようになってゆけば、日系企業にとっての未来の競争環境も、より公平なものとなるでしょう。

作成日:2018年10月31日