Q. 合弁企業の当社で、日本側株主が当社の総経理と別の会社の総経理を兼務することを計画しています。『外商投資法』の施行後、合弁企業の総経理が職務を兼任することは禁止されるのでしょうか。

A.
1.『外商投資法』の施行が合弁企業の総経理の兼務制限に与える影響
   現在有効な『中外合弁経営企業法実施条例』により、合弁企業の総経理の兼務は明確に禁止されています。ところが、2020年1月1日から施行される『外商投資法』では、前記の条例を含む「三資企業法」を、『外商投資法』の施行開始と同時に廃止することが規定されており、以後合弁企業には『会社法』の関連規定が適用されることとなります。『会社法』では、総経理の兼務に対する絶対的な禁止が規定されているわけではなく、最高意思決定機関である株主会の同意を得ることにより、総経理の兼務は認められます。

2.外国人の兼務に対する特別制限
   合弁企業の総経理が外国籍者である場合、外国人の就労に関する制限の問題も合わせて考慮する必要があります。法律規定により、外国人が中国で就労する場合、就労許可証に記載される勤務先での就労であることが必須とされています。一方、1人の外国人が取得できる就労許可は1件に限られているため、外国人が中国で複数の職務を兼任することは間接的に制限されているに等しいといえます。ただし、実務においては、外国人の兼務に対する監督管理の方針と要求には、各地の監督管理機関により相違が存在しています。

   『外商投資法』の施行後、合弁企業には組織機構、董事の人数や任期、重要事項の決議等多くの面で変更が生じることになります。「三資企業法」から『外商投資法』への移行、転換に際し、会社や高級管理職等に関する問題に直面した場合は、会社に不要な困難や手間が生じることのないよう、早めに専門の法律事務所にご相談されることをお勧めいたします。