日系企業が中国で業務にあたる際、商業秘密や知的財産のように保秘が必要な情報をしっかりと守るため、従業員と秘密保持に関する契約を結ぶだけでなく、競業避止義務を従業員に課さなければなりません。その理由とポイントをまとめましたので、ご紹介します。

Q1:競業避止とは?
A:競業避止とは、従業員の退職後、一定期間にわたって在職中の企業と競合に当たる企業への就職、競合に当たる企業の設立、運営などの競業行為を制限するものです。

Q2.競業避止義務の有効期限は最長どれくらい?
A:企業の秘密保持と従業員の就労権利のバランスを取るため、『労働契約法』の規定では競業避止義務を課す期限について、労働契約の解除もしくは、終了後二年を超えてはならないと定めており、二年を超える部分については無効とされるリスクがあります。

Q3.競業避止義務を従業員に課している間、企業はその従業員に補償しなければならない?
A:①補償が必要です。『労働契約法』の関連規定によると、従業員が競業避止義務を履行している期間、企業は従業員に月々の補償をしなければなりません。
② 補償金額について、取り決めがある場合はその取り決めに従いますが、取り決めのない場合、司法解釈の規定に従い、労働契約の解除または終了前の12ヶ月の平均月額給与の30%を毎月支払わなければなりません。
③ その月額補償が3ヶ月以上履行されない場合、従業員に競業避止義務の解除を求められるリスクがあります。

◆日系企業へのアドバイス
   企業が商業秘密を守ろうとするとき、競業避止だけでなく、企業内の保秘制度を備えなければなりません。
例えば、従業員と秘密保持契約を結んだり、就業規則や職務責任、競業避止制度、保秘制度などを制定したり、コンプライアンス評価を実施したりするなどして、貴社の利益保護を徹底しましょう。従業員個人との契約であっても、社内制度であっても、事前のリーガルレビューは欠かせません。お困りの際は弊所にお気軽にご相談ください。