2023年8月21日、中国国務院が『一部行政法規の改正・廃止に関する国務院の決定』(以下『決定』と略)を公布したことを受け、『製品品質監督試行弁法』が廃止され、また『中華人民共和国国際海運条例』、『道路運輸条例』など14本の行政法規が改正されました。これらは2023年8月21日に正式に実施を開始しており、その改正内容は一部の日系企業の中国での事業展開に大きな影響を与えるものとなっています。今回はその中から、日系企業の皆様にご参考いただけるいくつかの注目ポイントを挙げます。

1. 一部の国際海運業者に関わる「許可」から「届出」への変更
   当該『決定』では、国際コンテナ船及び国際普通貨物船運送事業者の許可制が廃止となり、届出制、すなわち事業開始日から15日以内に事業者が省人民政府の交通管理部門に届け出る、という制度に変更となりました。
   また、これと同時に無船運送事業者の許可制を廃止し届出制に変更したほか、無船運送事業者の保証金納付が不要となったことにより、国際海上運送事業者にとって、手続きとコストの大幅な削減が可能となりました。

2.企業への罰金の一部が廃止
(1)これまでの『工業製品生産許可証管理条例』では、生産許可証を取得した企業が定期的に省、自治区、直轄市の工業製品生産許可証主管部門に報告書を提出していなかった場合、主管部門が5000元以下の罰金を科す可能性があることを規定していました。
   当該『決定』でこの罰金事項が取り消されることになり、今後は政府の主管部門が報告書未提出などある企業に対し、速やかに改善するよう命じるのみにとどまり、これを理由に罰金を科すことはなくなりました。
(2)元の『道路運輸条例』には、旅客運送事業者、貨物運送事業者が車両運営証を携帯していない場合、交通運輸主管部門はこれに対し警告または20元以上200元以下の罰金を科すことができるという規定がありました。
   今回、当該『決定』でこの規定を廃止したことは、今後このように生産や輸送の安全にほぼ影響を与えない事項による罰金を企業が科されるということが減っていくならば、企業の更なるコスト軽減につながるものとなり得ることを意味しています。

◆日系企業の皆様へのアドバイス
   今回公布された『決定』の内容は、改正量の多さ、またその種類が多岐に渉るという点から見て、各種企業の生産、経営、管理など多方面へ大きな影響を与えるものとなると考えられます。各日系企業の皆様がこの『決定』に見られる改正、廃止の全体的な内容を理解し、自社の規定および管理を最新の規定に照らして調整することで、失効済みの規定や廃止された規定を適用しつづけないようにすることができ、また政府当局からの処罰に至る事態を回避することもできるでしょう。