10月18日、第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムにおいて、習近平国家主席は、開放型の世界経済を建設することに言及し、製造業分野の外資参入制限措置を全面的に撤廃するとしました。この内容について、以下に簡単にご紹介いたします。

1.製造業の外商投資制限が緩和
   今回の国際協力サミットフォーラムでは、高品質の「一帯一路」建設を支援する8項目の措置と行動が習近平国家主席により提出されました。その中で、製造業分野の外資参入制限の全面的撤廃が言及されたことにより、その後、国家発展改革委員会、および商務部などが、短期間のうちに2021年版の外資参入ネガティブリストの修正へと動く可能性が高くなりました。
   しかし、今回は製造業分野への外資参入制限を取り消すことにとどまり、ニュースメディア、社会調査などの分野における外資参入については、引き続き制限を受けている点に留意が必要です。 また、製造業分野の企業に投資した後も、独占禁止法、不正競争防止法など各種法律による規制を受けることに変わりはなく、知的財産権、商業秘密、不正競争など多方面の問題に対しても気を配らなくてはなりません。

2.その他の措置も外商・外資の発展を促進
   国務院も8月23日に意見を発表し、外商投資企業に対する自国民待遇の保障や外商投資に対する保護の強化など、6方面、24項目の具体的措置について提案しました。その例として、以下が挙げられます。
①外商投資企業の先進製造業、新サービス業、デジタル経済などの分野と、各種職業学校(技術・工業学校を含む)、職業訓練機構の職業教育と研修、人材募集を強化する。
②各種優遇政策の発表を通じて、条件に合致する外国投資家に投資性会社、地域本部の設立を奨励する。

◆日系企業の皆様へのアドバイス
   今回の制限撤廃に伴い、各日系企業の皆様及び外国投資家の皆様が、中国政府当局の最新の政策動向に適時注目しつつ、関連する優遇政策を合理的に運用することにより、中国での事業コスト支出を軽減し、事業の発展・拡大を進めていくことができるでしょう。
   しかし、外国人投資家の製造業分野への投資制限が撤廃されるとしても、他の様々な制限や規制が無くなるわけではなく、業界によっては依然として特殊なハードルが存在する場合もあることに注意しなければなりません。具体的な情報がまだない現時点においては、当該事項についてケースバイケースで分析を進めつつ、中国政府当局が進める外資企業の投資環境の改善への道が、今後皆様の願う方へと向かうことを期待します。